我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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2022年6月

2022年6月11日 (土)

SUZUKI'S AUTO FOCUSのその後

明日の日曜日(6月12日)、我楽多屋は臨時休業させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

 

「SUZUKI'S AUTO FOCUS」と記された、謎のカメラを2ヶ月半ほど前に話題にしました。その謎のカメラについて、私なりに解明出来た範囲のことを。

SNS上では、探偵みたいなカメラ屋さんとか、カメラが好きなのが感じられる~とかいう反応があって、皆さんこういうネタにも興味があるんだなぁ~と気付きました。

さらに、我楽多屋のお客さんからは「とても関心があるので、売り物でまだ残っているのなら、是非とも更なる解明をしたい!」とのお申し出をいただきました。

そのお客さんは分解修理に深い知識をお持ちの方なので、これは願ってもないお申し出!ということで、「SUZUKI'S AUTO FOCUS」を託すことにしました。

1ヶ月足らずで、以下の報告がありました。その報告を私なりの言葉で紹介させていただこうと思っていたのですが、その作業がとても難しいのでお許しを得て、そのまま引用させていただくことにしました。

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このカメラはリコーの前身、理研光学時代だった1940年に発売されたベスト判で4x4撮影のできるロイコです。

これに「実用新案第826号出願中」とされる「鈴木式連動装置」なる距離計を組み込んだのが本機です。距離計のカバーの上には確かに「PAT APLD(Patent applied)No.826」とあります。

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ただし、30、40年代の距離計関連のパテントを全て確認しても、この実用新案を発見することはできませんでした。

ロイコに元から付いている画角用のファインダーは距離計用の光路を確保する為に側面に穴が開けられ、距離計カバー内に組み込まれそのまま流用されています。

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アクセサリーシューは取り外され、トップカバーにも距離計を載せる為に容赦無く穴が開けられ、Roicoの文字にもネジ穴が被ってしまっています。

距離計の基線長内に画角用のファインダーを入れる仕組みは、オスカルバルナツクによる1934年の実用新案出願公告第117号の登録請求の範囲で、「図面に示す如く距離計箱内に距離計の基底をなす二投射窓の間にファインダーを設けたる寫眞機の構造」に抵触していると考えられます。

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今の遵法精神を持ち出して論ずるのはナンセンスだと思いますし、「まぁ大丈夫だろう、やってしまおう」といい加減にやっていた例はいくらでもあるとは思うのですが、とすれば何故人目につく広告に実用新案出願中の案内を出したのかは疑問です。

この実用新案が見つからなかったことから、もしかしたら出願したこと自体が箔を付けるためのハッタリの可能性もありますし、具体的なことはわかりませんでした。

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カメラ中の距離計の仕組みはバルナックライカによく似ており、レンズの前後移動に連動して動くプリズムと二重像を生み出すハーフミラーで構成されていますが、この2つの配置がバルナックライカとは逆なため接眼位置がボディの中心寄りになっています。

「Suzuki's Auto Focus」と刻印された距離計カバーは当然純正品ではなく後付けされたものですが、形状に不自然な部分があります。

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これは当時の広告を見ると理由が解るのですが、この改造は主にゲルトを距離計連動改造するために考えられたアイデアで、巻き上げノブを避ける為にえぐられた部分がロイコでは無用の長物となり不自然な造形になっています。

「PAT APLD No.826」のPLの部分にネジが被ってしまっているのも同様の理由と思われ、これは距離計調整用の隠し蓋の役割をしているのですが、ゲルトを想定して作られたカバーの為に文字に被る形でネジ穴を開けることになってしまったと考えられます。

見た目はともかく、ロイコでも使える距離計ユニットと判断して改造された物でしょう。メッキはロイコの部分と異なりよく見ると質感が異なります。また質も悪く距離計カバーの部分だけ錆が発生しています。

(中略)

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この個体の一点気をつけなければならない点は、実はレンズとシャッターが交換されている点です。

レンジファインダーが改造により搭載されているため、この2点も同じ時に改造されたと考えそうになりますが、こちらは残念ながらこの数年内に趣味人の手により交換された事が調査により分かりました。この点を気をつけて見なければなりません。

ロイコの本来の組み合わせはNKSシャッター、もしくはRKKシャッターとロイコアナスチグマートです。現在付いているセイコーシャラピッドシャッターとシムラーの組み合わせはロイコと比較的登場時期の近いミニヨンに搭載されている物です。

そのため時代考証を全く無視した組み合わせとまでは言えないのですが、もしどこかでロイコの組み合わせを見つけたら元の姿に戻してあげようと思っています。

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謎だったカメラについて、見事な捜査と解明。とても興味深く読ませてもらいました。ありがとうございます!

そして、既に後日談があるんです~(^^)。また改めて報告いたします。

 

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2022年6月10日 (金)

オールドデジカメを買う理由

今度の日曜日(6月12日)、我楽多屋は臨時休業させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

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昨日このカメラを買って行かれたお客さんが、このカメラを選んだ一番の理由は「電源が単三電池だから」だそう。

そう、我楽多屋に並べた安価なコンパクトデジタルカメラを買って行かれるお客さんの中に、同じ理由を挙げるお客さんが結構います。バッテリー切れしても、コンビニエンスストアなどで簡単に入手が可能だからです。

ただ、充電池よりも電池の容積が少し大きい分、カメラ自体が大きくなるような気もしますが、このカメラなどはその分を右手の握り部分に当てているので、決してカメラが大きくなっている印象はありません。

もう一つの選択理由がその「サイズ」。デジイチやミラーレスでは気軽に持ち歩いて街撮りするには、ちょっと大きいとのこと。

そして、私が興味深く思った選択理由が「良く写り過ぎないところ」だそう。サイズが気になるならスマホでいいんじゃないですか?と聞いたら、今のスマホは良く写り過ぎてしまう~というのです。ほほ~。

ところで、この2007年発売の「ニコン クールピクスP50」。背面の液晶がかなりイカれていて文字がやっと読める程度...。それでもSDカードを入れて試したら、画像はちゃんと撮れて保存されていました。

これもフィルムカメラ感覚で撮るのにいいかも~という解釈をされていらっしゃいました。

 

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2022年6月 9日 (木)

赤・白・黄色

今度の日曜日(6月12日)、我楽多屋は臨時休業させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

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10年ちょっと前、このカメラが現行品だった時に「欲しいなぁ~」と思ったことのあるカメラ、キヤノン IXY30Sです。

メーカーも宣伝でアピールしていましたが、一般的なブラックとシルバー以外に用意された3色(レッド、イエロー、ホワイト)は光沢感のあるコーティングが施されていて質感が良いのです。特にホワイトは他の2色が3層コーティングであるのに対して、もう1層多い4層でした。

ただ、IXYシリーズのフラッグシップ機ゆえ~お値段もちょっといい感じだったので、新品で買うことはありませんでした。そして、こういうこだわりモデルは中古でもあんまり出て来ないので、以後忘れちゃった感じでした。

先日ご来店のお客さんが、これのイエローをご持参されていたので触らせていただくと「あぁ~やっぱり良いなぁ~」と思いました。

すると「他の色も持っているんですよ!」と言って、スマホの画像で見せびらかされちゃいました。

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2022年6月 8日 (水)

11年切れの800

本日水曜日は、我楽多屋の定休日です。

また、今週日曜日(6月12日)は臨時休業させていただきますので、あわせてよろしくお願い申し上げます。

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二代目の「先週撮ったもの行ったとこ」は、第三台場です。厳密には撮ったの行ったのは先々週で、先週現像しました。

ブログでも話題(https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2022/05/m-8ff6.html)にした、写ルンですのレンズをMマウントに改造したレンズで撮りました。ただ、期限が切れて11年も経過した感度800のフィルムを使用したので、仕上がり厳しいだろうなぁ~と予想していました。

その結果がこれです。

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2022年6月 7日 (火)

刺繍とエンボス

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「プロストラップ」というと、真っ先にニコンを思い出す人が多いと思います。ずいぶん前のことですが、平気で2~3万円で売り買いされていた時期もありましたからね。

でも、プロストラップはメーカーがプロ登録されているカメラマン向けに無償配布していたものですから、市場で売り買いされていること自体が内緒にしないといけないような話なんですけど…。

聞いた話では当初はプロが「欲しい!」と言えば簡単に配布されていた時期もあったようですが、内緒にしないといけないような話が出て来てからは、ストラップにナンバリングがされたり、傷んだストラップを持参しないと交換してくれないようなシステムになったそうです。

 

さて、今日の画像はキヤノンのプロストラップです。

今現在(といっても10~20年前から)は「PROFESSIONAL」と記されたストラップが市販されていますが、これらは前述のプロに配布された本物のプロストラップです。

でも、よく見ると「Canon」や「PROFESSIONAL VERSION」の文字に違いがあるのが分かるでしょうか。文字が刺繍の初期モノ(手前の1本)と、刺繍っぽいエンボス文字を貼り付けてる後期モノ(後ろの2本)の2種あります。

当然、後期モノは酷使すると剥がれて来ます…。

 

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2022年6月 6日 (月)

何が入っているでしょうか?

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普通そこら辺でこんな薄ぺらで見慣れないバッグ持っている人が居たら、中に入ってるモノが想像できないので怪しさ満点ですよね!?

このバッグ、何を入れるものか分かりますか?

うちの店のブログで話題にするくらいなので、カメラ関係のモノが入っています。そこまで絞られると、勘が働く人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

答えは「レンズフィルター」です。

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バッグの表側にはレンズフィルターの大御所「Kenko Filters」って文字が入ってます。中には12枚のレンズフィルターの収納可能です。

サッと開けて必要なフィルターが直ぐに見つけて取り出せるんでしょうけど、こんな角張った固いバッグを持ち歩くことが大変そうです。

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2022年6月 5日 (日)

デミC

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「キヤノン・デミ」と言えば「オリンパスのペン」、「リコーのオートハーフ」に並ぶ、ハーフ判カメラシリーズの一つとして認知度高いと思います。

でも、キヤノン・デミにレンズ交換が可能な「デミC」というモデルがあることを知っている人は案外と少ないようです。

標準28ミリと望遠50ミリの2本レンズセットで販売されていました。そして、ボディとレンズ2本を収納できるケースも用意されていました。

上の画像に写っているセット、昨日のお客さんカメラ。実は少し前から我楽多屋にもレンズだけはあるんですよね...。それも面白いことに、標準と望遠が別々の出所からやって来ました。

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ボディが無いので直近に試すことも無かったので、お客さんのカメラセットを利用して望遠を付けた状態でボディのファインダーを覗かせてもらうと、口径の大きなレンズ鏡胴がファインダーの下何分の一かを遮っていました。「酷いな…」と一瞬思いました。

でも、よくファインダー内を見たら劣化で薄くなっていますが望遠50ミリ用のフレームがあって、そのフレームはファインダー内に入り込んでるレンズ鏡胴のちょうど真上に引かれていました。画角を遮ってはいません。

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流石に純正品。私が心配しなくても、そこら辺はちゃんと作られてますね。

*過去にも一度、デミCについて取り上げたことがあります。取説がちょっと滑稽だったりします→https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2015/08/demi-c-3b8d.html

 

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2022年6月 4日 (土)

ジュピターじゃなくて

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先月、お客さんカメラに一目惚れしてしまったことを話題(https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2022/05/post-2130.html)にしましたが、そのお客さんが一昨日再びご来店されました。

今回その渋い後塗りライカM4には、ロシア(旧ソ連)製レンズが付いていました。

見た目はゾナー85mm/F2のコピーと言われている、ジュピター(ЮПИТЕР)-9のようなのですが、刻印にはゾルキー(ЗОРКИЙ)と記されているんです。これ、かなりレアものかと。

ジュピターレンズ、ごく最近でこそウクライナのアーセナル工場製と認識している人も増えているかもしれませんが、もともとはモスクワのクラスノゴルスク工場で造られていて、その最初期にジュピター表記ではなくて、ゾルキー表記のものがあったのだとか…。

このレンズの製造番号前2桁が「50」なので、1950年製造であろうと思います。

 

すっかり忘れていたのですが、3年程前に標準レンズで同様のものを紹介したことがありました→https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2019/08/502-39ca.html

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一番上の画像で一緒に写っているレンズは、モスクワのクラスノスゴルスク工場製のインダスター(ИНДУСТАР)-50。何日か前に田中長徳先生がSNSにライカにこのレンズを付けている画像を見て欲しくなって、我楽多屋の在庫にあったのを思い出して買いに来てくださったのでした。

 

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2022年6月 3日 (金)

隠れアイテム

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キヤノンFTの隠れアイテム!?の話です。

しかし、面白いところに記すもんですね。巻戻しクランクを引き上げたところに、バッテリーチェックする時の設定条件を記しているんです。

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感度はASA100・シャッタースピードはXに設定して、チェックレバーを→の方向に操作しろ~と。その状態でファインダー内の針の振れを見なさい~ってこと。

まぁ、一度この場所に隠し記されていることを覚えれば細かい設定数値までは記憶しなくても、クランク引き上げて見れば良いってことですね。

ちなみに後継機のFTbになると、隠し記すことはやめてしまって設定条件を記したシールを貼って済まされちゃいます。これだと、シールを剥がしちゃったら条件が分からなくなりますけどね。

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2022年6月 2日 (木)

このカメラのバッテリーボックス

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コニカFC-1の動作確認をしようと思って電池蓋を開けたら、ちょっとビックリしました。

電池蓋の形状から考えて、ボタン型の水銀電池(MR-9あたり)を直に入れるのかと思いきや。大袈裟なバッテリーボックスが出て来ました。

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半透明の樹脂製バッテリーボックスは、蓋を開けてLR44を横に4個並べて入れます。それをカメラに差込むタイプ。

このカメラ以外にも、これと似たようなバッテリーボックスを持つカメラがいくつかあったように思いますが思い出せません。

ボタン電池を横に並べるんじゃなくて、縦に4個重ねるバッテリーボックスは思い出しました。「フォクトレンダーVF101」というカメラ。

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