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我楽多屋で買った  モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第222回

森永純さん、友人スミスさん、そしてカメラグリップ

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まず最初にお詫びです。毎月連載しているこの文章ですが、私の不注意で3月分が更新されていませんでした。お詫びします。

森永純さんがついこの間亡くなりました。81歳でした。

森永さんには1976年に、ヨーロッパでの現代日本写真家展に出品して頂きました。全部で私も含めて22名の戦後のヨーロッパで初めてになる写真展でした。その準備で森永さんのお宅にお伺いしてダークルームも見学させてもらいました。非常に立派な行き届いた広いダークルームでした。

森永さんの経歴で重要なのは、写真家友人スミスのアシスタントを務めたことです。スミスは日立製作所に依頼され撮影していました。その後、水俣病などで本格的に日本と取り込むようになったんですが、最初のスミスの日本との出会いは日立でした。その前は第二次世界大戦で南方の戦争写真を記録しています。

スミスは偉大なジャーナリズムの写真家でしたが、そのアシスタントから出発した森永さんはむしろジャーナリズムというよりも、自分の眼前の世界を哲学的に捉えるという方向に進みました。

現在の状況を考えてみると、ジャーナリズムの不毛という時代です。ですから森永さんはスミスのアシスタントをしたときに、何か本質的なものをスミスから学んだのかもしれません。

友人スミスの撮影の特徴というのは、一度に6台のニコンカメラを持って、それぞれにカメラグリップを付けているのです。スミスは大柄な人ですから、それで充分撮影は問題なかったようですが、そのアシスタントの森永さんはどちらかというと小柄な方ですから、カメラが1台そしてカメラグリップも付けないというのが森永さんの撮影の方法でした。

普通ですと先生のカメラスタイルを真似するんですが、そこら辺はきっぱりと森永さんの場合、スミスの真似はしていないのです。もちろん写真の表現だって真似はしていません。そこら辺はとても大事なことだと思います。

私はどちらかというとカメラにはグリップを付けるというやり方なんですね。特に握りの悪いカメラにはグリップを付けたくなります。

ある日、我楽多屋さんでこんな素敵なグリップを発見しました。どうもこのグリップはなんとなく見覚えがありました。

Zeissの最高級の一眼レフに付けられていたグリップがこれであったような気がしたのです。

それは望遠レンズのグリップで、全体のバランスが悪くなるのでこのグリップを使っていました。Zeissの高級な望遠レンズは普通のフォーカシングシステムではなくて、レンズの中央部分にダイヤルがあってそのダイヤルを回転させてフォーカスするのです。グリップを付けるとそのフォーカシングダイヤルが非常に使いやすくなるのですね。

写真家の撮影スタイルは写真家によってそれぞれ完全に異なるのだ、ということを教えてくれた我楽多屋さんで発見したこのグリップなのです。

 

*冒頭で長徳先生が「私の不注意で~」と謝罪されていらっしゃいますが、私 二代目のスケジュール管理のミスが発端です。先月の更新が出来なかったことお詫び申し上げます。 

 

 

(2018.4)