我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第291

デジタルライカにボロボロのオートトプコール35ミリ

つけるのが私のベストな写真術

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ガラクタ屋さんで買ったカメラやレンズやアクセサリーが面白いのは、これを一体何に使おうかという頭の体操ができて、それで写真家としての感性が広がるというところにあります。これはちょっと想像できないような、ガラクタ屋さんでのガラクタ遊びの成果であるといえます笑。

3年ほど前に、国産で3番目に登場したトプコンの一眼レフのボロボロなのがあって懐かしいので手に入れました。実は私が10歳のときに最初に買ったのがアサヒペンタックスでしたが、その時にトプコンの一眼レフにしようかちょっと迷ったのです。その時のペンタックスのプライスが49,500円で、当時としては大金なんですね。トプコンの一眼レフはそれより1000円ぐらい高かったけど、1957年当時の1000円というのは大金でした。それでペンタックス。

それから何十年か経過して、トプコンの一眼レフを手に入れて大柄だけどシャッターの音は静かだし、その魅力に引き込まれました。次の週だったと思いますが、ガラクタ屋さんでオートトプコール35ミリのフィルター枠が凹んでボロボロなやつがあったので安く手に入れました。しかも2本あったのです。

本物のガラクタレベルで2つともフォーカシングリングはインフィニティーでフリーズしています。絞りは動きますから、私の写真には何の問題もなし。ほぼ100%の確率で私は10メートルからインフィニティーの距離でスナップ撮影をしているからです。

オートトプコール35ミリをそのままトプコンの一眼レフにつけるのはあまりに当たり前なので、ちょっと考えたらトプコンマウントのレンズをライカエムマウントにつけるアダプターがあったので、それでデジタルライカに装着しました。

それがなかなか良い描写なので満足満足。

中古カメラのプライスの基本からすると、これだけ使い込んだレンズというのはほとんど流通することがないのですが、そういうものが置いてあるガラクタ屋さんはやはり凄いところだと思います。

私が昔、日本カメラから出したクラシックカメラの三部作シリーズの一番最初の本だったと思いますが、アメリカ海軍で使われていたトプコンの一眼レフの話が出てきます。おそらく航空母艦で激しく使われたもので、カメラ本体は凸凹になっているのですが、そういうところに私は使うクラシックカメラの魅力というのを強烈に感じるのです。普通のカメラ人類はきれいなカメラが好きなんですね。

昔、義理の父親がライカM3を欲しがっているので、ウィーンでなるべくきれいなものを買ってきて渡したのですが、その時の反応は新品だといいんだが…というものでした。ここら辺が普通のカメラ人類の共通の価値観なので、きれいな中古品は高いという原理がそこに通用します。

ところで、オートトプコール35ミリの歴史を調べて面白いポイントを発見しました。当時のトプコンの一眼レフの交換レンズは35ミリと50ミリと100ミリの3本でした。

そして、その3本のレンズはサイズもレンズの長さもほとんど同じなのです。それで取り違いを防ぐために58ミリのレンズはクロームのままのシャッターボタンですが、35ミリ広角レンズは同じシャッターボタンがグリーンのメッキがしてありました。もう一つ100ミリ望遠レンズのほうはオレンジのメッキがしてあるのです。

交換レンズの脇についているシャッターボタンの色で迅速にレンズを見分けられるなどというのはすごいアイディアですね。

それでこのレンズの歴史を調べてわかって面白かったのは、アメリカのマーケットからの要求で、最初のレンズは1時オートプリセット、つまりシャッターボタンを押した瞬間に絞りが一定の値にまで絞られるのですが、それだと撮影の前に絞りをセットするのが大変なので改良するようにというリクエストがあったそうです。

それでここに示すオートトプコール35ミリですが、これは改良モデルの方なのです。つまり撮影の時に毎回レバーで絞りを解放するというそのレバーは省略されていて、指の押す力で自然に規定の絞りまで絞り込むようになっています。

それでここがびっくりなんですが、同時に手に入れた初期モデルのレンズもありますから、初期のオートトプコール35ミリの歴史をそのまま買ったということになりますね。しかも両方とも使い込んだレンズであるというところが非常によろしい。

 

 

(2024.1)