我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第304回
私はプラハやパリのカメラ屋さんに行くわけですから、
その逆の流れがあっても不思議ではありません。
ガラクタ屋さんの二代目さんは、お客さんに対して大昔の寿司屋の怖い親父さんみたいな感じで、いろいろ叱咤激励するということばかりが有名になってしまいましたが、実はかなりの国際人でもあります。
かなり前ですが、当時のライカの社長さんをお連れして、買取名人と二代目さんと国際交流をしたことがあります。その時は私が通訳を務めました。
ガラクタ屋さんで最近、外人のお客さんが多くなったと時折二代目さんが書いています。カメラに関していえば言葉の障壁というのはほとんどなくて、中古カメラがそのまま翻訳ソフトのような役割をしてくれますから、言葉はそんなに必要不可欠なツールでは無いのです。
しかし、二代目さんはお客さんに対して厳しいところもあるけれども、同時に誠心誠意お客さんのことを思うというポイントもあって、その場合はブロークンイングリッシュではなかなか通じないということを残念がっていた数年前でした。
ところが、割と最近になってフランス語を話すお客さんが来たときに、彼の持っていたスマホの翻訳ツールでかなり細かいところまで会話ができるということを発見したのです。これは本当に凄いことだと思います。
以前の常連さんでロンドンにお仕事で2年ぐらい行っていた方が1週間の一時帰国で、まず最初に駆けつけたのがガラクタ屋さんというのもいいですね。数日後その常連さんは日本人の友人とガラクタ屋さんで待ち合わせをし、ロシアの友人も遅れて合流するかもしれないということを二代目さんに伝えていました。実際にはロシアのご友人は来なかったのですが、それからしばらく経ってから、そのロシアの方が1人でやってきて、二代目さんとスマホの翻訳ソフトでちゃんと意思が通じて良い買い物ができたというのはすばらしい。
20年ほど前に、おそらくこれが世界で他に例がないと思いますが、写真機店というタイトルの写真集を出して、そこではウィーンとプラハとフランクフルトとあとどっかのカメラ屋さんの名物店主さんと室内とカメラを紹介するという写真集が出ました。びっくりしたのは、この写真集を日本のカメラ人類さんが持って実際に現地に行くときのガイドブックにしたのだそうです。
冷静に考えてみれば私はファーイーストの人間で、地球の反対側のヨーロッパやアメリカにカメラを見に行くわけですから、あちらからインバウンドで来てくれるのもこちらから行くのも全く同じ価値を持っているんですね。
外国の旅行先でも同じライカを持っていたツーリスト同士がすぐ友人になるというのはカメラが持っている不思議な力というわけです。これがスマートフォンになるとそうはいかなくて、最新のスマートフォンですね。ちょっと見せてくださいというのはマナー違反。カメラこそ本物の国際交流のツールであるというわけです。
(2025.2)