我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第310回
買取名人さんの思い出
カメラ流通業界の超有名人、買取名人さん後に改め買取職人さんが亡くなられました。謹んで哀悼いたします。
30年位前、今の場所ではなかった頃のお店にニコンSPにエフ1.1のレンズが付いたのを買い取ってもらったことがありました。びっくりするような高値で買ってもらいました。
それ以来、私は飲み屋の支払いに困った時は買取名人さんという刷り込みが脳内にできていました。しかし、実際に買い取ってもらったのはこの時だけだったのが残念です。
カメラ雑誌に紹介された見開きのイエローページの悪代官めいたイメージが買取名人を全国的に有名にしました。と思っていたら、買取名人は実は国際的な有名人だったのです。四半世紀前に当時のライカの社長さんが来日したので、表敬訪問で買取名人さんのところにお連れしました。
その時ライカの社長さんと買取名人さんは話がよく弾んだのですが、後でライカの社長さんに聞いたら、買取名人の顔を知っているというのです。要するに、back numberでイエローページの広告を見ていたのでした。ここら辺すごいですね。
田中長徳と一緒に買取名人の故郷小豆島を訪ねるツアーが20年前に企画されました。
少年時代の買取名人が新聞配達で、駆け抜けたみかんの畑とかいろいろ見せていただきました。新しく建てられた買取名人のご先祖の立派なお墓にも礼拝しました。小豆島は自然が豊富に残っており、夏の蛍の飛び交う綺麗な風景というのを買取名人の口から聞いてかなり感動。
ツアーは大きな観光バスでしたが、小さな村で餅つき大会をやっているのがちらっと見えて、買取名人はバスを止めて、そこに飛び入りで参加してお餅をつきました。餅つきというのは、昨日今日の練習で腰付きが決まるものではありません。買取名人の深い経験をそこに見る思いがしました。
(2025.8)