我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第292

ローライマジック用のストラップ取り付け金具は重要である

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ローライフレックスのカメラ本体に付けるためのストラップの歴史は、そのままカメラが大型化していった歴史でもあります。

1929年に登場した初期のローライフレックスの場合、カメラストラップも非常にシンプルなものでした。普通の革製のストラップに中央にちょっと穴が開いていて、その穴をローライフレックスの本体に突っ込んでそれで固定するというものでした。当時のカメラはそんなに重くないからこれで充分だったわけです。

それからローライフレックスはどんどん進化を続けて、戦後になるといわゆるエフモデルというのになりました。この場合、体積も大きくなったし重量もかなり増してきたので、戦前のローライフレックスのような革紐に穴を開けて、それをカメラ本体の金具に引っ掛けるなどというのは危険が多すぎて使えません。

それで、皆さんご存知の例のカニのハサミのような格好の特殊な金具をローライフレックスの本体に押し込むと、そのままかっちりとストラップが固定されるようなお馴染みのやり方になったのです。

これはレアなアクセサリーというのではなく、中古市場でちゃんと発見することができます。最近数が少なくなってきたのか、そのカニのハサミの部分だけサードパーティーが作って流通しているものもあります。

1950年代後半になって世界で最初の自動露出のローライマジックが登場しました。非常に画期的なもので、セレン露出計ですがカメラをモチーフに向けてシャッターを押すと全て自動で露出ができるというやつです。

このローライマジックの最初のモデルは露出計がちゃんと生きているのが少ない。それでちゃんと動くやつをロンドンから買って使っていたのですが、私はこう見えても結構シビアな露出をする写真家なので、アマチュア向けのカメラですからどうしても露出がオーバーに設定されているのです。それで使うのをやめました。

その次のモデル、ローライマジック2型を使いだして今は3台に増えてしまいました。自動露出は壊れていますが、2型の場合マニュアルでシャッター速度が設定できるので、写真を撮る上では問題がないのです。ローライの解釈としては普及型のつもりだったのでしょう、そのためにカメラに取り付ける金具がかなりコストダウンされているのです。

ローライフレックスの膨大な数が売られた大成功に対して、ローライマジックは1型が50,000台、そして2型は25,000台です。だからストラップ用の金具が失われていると、それを探すのが大変な作業になります。

数年前の事ですが、ガラクタ屋さんにローライマジック用の金具が2セット売られていたので、すぐゲットしました。このヘンテコリンな金具がローライマジック用であるということを、この部品だけ単体で見せられて、すぐに分かるという人はカメラ屋さんのプロフェッショナルでもそう多くはないと思います。

それがちゃんと分かって値付けをする二代目さんはやはり変わり者の怖い寿司屋のおやじさんであることが分かりますね。

ローライマジックを使っていた有名な写真家は調べてもちょっと解りません。しかしこのカメラを使っていた有名人にはあのグレースケリーがいます。彼女がローライマジックを構えているスタイルはなかなかプロフェッショナルです。

 

   

(2024.2)