みなさんが中古カメラを買われた時にもあることだと思いますが、私どももお客さんから買わせていただいたカメラのチェックをしていると時々あることです。
裏ブタを開けると、フィルム室に何かのシールが貼られていることがありませんか?
例えば、フジのカメラにフィルムはフジフィルムを使いましょう!的なシールだったり、カメラを販売したお店の店名や電話番号が書いたシールだったり・・・。どちらも、最近のカメラではほとんど見かけませんので、シール自体に時代を感じることが出来て、より楽しめたりします。
最近では、修理の名人「早田カメラ」さんで修理されたカメラには、それと分かるシールが貼られているのは有名かもしれません。
今日、買わせていただいたニコンFのフィルム室に貼られていたシールは海外のものでした。「Texas」とあるのでアメリカでしょうね。「Rental and Repair」と書かれているのでアメリカのカメラ屋さんで修理されたカメラなのでしょうか?
貼られたシールなどをたよりに、そのカメラの今までの経緯を勝手に想像したりするのも楽しいものです。
そういえば、ちょっと話は変わりますが、以前にこんなことがありました。アローカメラで買わせていただいた品物の中に、ライカの赤い箱があり、その中にかなり昔のフィルムが保存されていた名残があったのです。その箱をお買い上げいただいた田中長徳先生に「中にあったフィルムはどうされました?」と聞かれて、処分してしまったと答えると、ずいぶんと残念がられたのです。
私としては、やはり・・・商売として買わせていただいた品物の中にあったフィルムが、手放した方にとって何らか不本意な形で公開されたりすると良くないことと思って、どちらかというと積極的に処分したので、何か複雑な心境でした。
*このネタは「我楽多屋で買ったモノ・マガジン第115回」で語られていますので、こちらも参照下さい。ちなみに、2009/8/5以降は第115回を閲覧できなくなるので、以下に一部抜粋しておきます。
二代目社長に「この中に入っていたネガはどうしたの?」と焦って聞いたら、「あ、ネガは処分してしまいました。あれ、要るんですか」とのお答えでちょっとがっかりしました。そのネガの箱のインデックスには「南洋」とか鉛筆書きで書かれていたのですから、これは戦前を生きたライカ人類の生きた記録なのです。
我楽多屋さんの女子大生のアルバイトのお二人に聞いたら、彼女たちは「南洋」の意味を知りませんでした。それで「君たちが行く、グアムやサイパンのことだよ」と補足説明したのでした。
その次の週に作家のいしいしんじさんに、このことを話したら、彼も残念がることしきりでした。「そりあ、もったいないわ、そういうネガがありゃ、小説が一本書けたのに。ほんにあきまへんな」といしいさん。