我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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2023年11月26日 (日)

ちょっと本音をダラダラと

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このカメラをご持参されたのはシニア女性でした。お母様が持っていたものだそうで、ご持参された女性も若いころにお使いになったことがある~とのこと。

当時このカメラをお使いになっていたお母様はハイカラだし、想像するに…60年くらい前にこのカメラを使われた娘さんもカッコいい。

とはいえ、50年以上置きっぱなしになっていたらしく、我楽多屋がテレビ番組の「じゅん散歩」で紹介されたのを見て、うちの店へ足を運んでくださいました。戦前のツァイス・イコンのカメラなんですけども、買取り査定としては非常に厳しいモノがあります…。

多分、50年くらいずっと入ったままであろう袋から女性がカメラを取り出そうとされるのですが、袋がボロボロと裂けていきます。出て来たカメラを受け取って前板を引き出そうとしましたが、固着していて開きません。無理に引き出して私が壊してしまうと、まだお客さんのものなので責任問題になりかねないので、一旦やめました。

そこまでのお客さんとの会話は、普段も時々あるような以下のような感じ。

「事務的にお答えすれば値が付きません…という部類の品物ですが、それでも手放すということであれば、何百円か千円までってところですよ」(このカメラでも、直近にプロの修理から仕上がって来たばかり~とかいうなら話は少し別ですが)。

すると、「良く写るんですよ」と言われるので、「写る写らない動く動かないという話ではなくて、市場性の問題なんですよ~」と返すことになります。

普段からこんなやり取りを、高く売れると思ってやって来た人とはよくしています。

そこで、「お母様の形見に持っておかれてもいいのでは?」などと提案しましたが、「子供たちが全く興味ないから次の代で捨てられることになる…」と言われます。「でしたら、何らか欲している人への橋渡しをしますから、おまかせてくださいよ」と。

こんなやり取りもよくするのです。

今回はその女性が「分かりました、もらっていただけるなら、そうしてもらいましょう」と言われたので、「いや、うちも店を構えて商売でやっている以上、タダでいただくわけにもいかないし、先程言ったように事務的に答えたら値が付かないものでも、お気持ちの査定をしているんです」と、最後に追加で念を押させていただきました。

時として、うちの店でも処分しないといけないようなものの場合などはタダで引き取る形になることもありますが、われわれ事業者がゴミを出す場合はお金が発生しております点、お察しください。

 

最後に、少し言葉が悪くなるかもしれませんが、お金になると思って持って来たカメラに思ったような値が付かなかったけども持って帰るつもりもない、結局は安く買い叩かれたとか、タダ同然なのでくれてやったとか思われるのは、こちらにとっても心外なのです。

市場性が乏しくて大きな値が付かないものであっても、それを欲している人がいるのであれば、専門業者として(うちはカメラ屋なのでカメラに関するものであれば)橋渡しの役を担えれば~と思っているのです。

専門業者というのも大事な点、分野を超えてカメラ以外のあれやこれやもやるのは結果的に、知識も思いも浅くなってしまうので本末転倒と思っています。

こういうことを理解していただいたうえで、カメラを買取り・次へと橋渡ししたいと考えています。

 

 

2023年11月25日 (土)

写真の撮り方の本なんですが

★本日25日は第4土曜日なので、午後2時より恒例の全品1割引きサービスを行ないます。

 

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鉄道写真家の大御所 広田尚敬さん(当時は廣田だったんですね)の「たのしい鉄道写真の撮り方」という本にちょっと驚きです。発行は1976年なので、47年も前。

ご自身が「少年向けに書いたつもりの内容が、大人にも充分読みごたえのあるものだと再認識してしまった」と書かれているように、子供に限らず大人の初心者向けにもかなり充実した内容です。

カメラやフィルムの知識のほか詳しい撮影テクニックは当たり前、それ以外にも準備やマナーなど現地での注意点まで事細かに書かれています。

見出しの一部を紹介すると、以下のような感じ。「道の上手なたずねかたをコーチしてください」「大自然から知る天気予報」「レールぎわを歩くとき気をつけることは」「列車待ちの間がたいくつでこまっています」(に続いて食べられる野草の紹介がされています)、「お礼状がにがてです」などなど。

そして、この本一番の驚きは218ページもあるのに「写真」が1枚も使われていないこと。必要な場合はすべてイラストが使用されています。写真の撮り方の本なのに…。

だからと言って、それがこの本の価値を下げている~とかそういうことを言いたいわけではありません。既に書きましたが、大人でも充分に使える充実した内容です。ただ、単純にページをめくって行くうえで写真が無いことにちょっとビックリしました。

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2023年11月24日 (金)

セルフタイマー固まる

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「レンズまずまず シャッターもOKだったのにセルフかけたら固まった…メーターはダメ」

このキヤノン デミEE17の値札に書いた案内書きです。

入荷したカメラの動作確認をしたまんまを書きました。

去年ちょっと書きましたし、店でも時々お客さんに口頭で話すことがありますが、私は我楽多屋に並べるカメラの動作チェックをする時にセルフタイマーはほぼ気にしていません。

逆をいえば、セルフタイマーを使うことが前提でお買上げいただく場合、お客さんにとってセルフタイマーの動作チェックは必然になりますのでご注意ください。お買い上げ前にご自身でチェックいただくかお声がけください。
 
このキヤノンデミは動作チェック(セルタイマーを除く)をして値付けをしようと思いながら、翌日の朝イチにご来店されるであろう(ご来店の曜日がほぼ決まっている)常連さんのことを頭に思い浮かべました。

その常連さんは迷った時に、セルフタイマーの動作の調子で買う買わないを決めることがあるからです。だったら先に試しておいて~そういう状況になったら、こちらから自信を持ってセルフタイマーの具合を先に案内してしまおう!と考えたのです。

で、セルフタイマーをセットして指を放したら、レバーがそこから全く動かなくなってしまったのです(大泣)。

翌朝ご来店された常連さんに「これはどうなの?」と聞かれたので、値札に書いた事実を案内するとお買い上げくださいました。セルフが直れば、状態良く使えるであろうことが決め手になったようです。

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2023年11月23日 (木)

書く人

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ピコレットです。1912年に発売されて人気商品となったヴェストポケットコダックの類似品である、このカメラ。

コンテッサ・ネッテル社で発売されて、1926年にコンテッサ・ネッテル社を含む数社が統合された後はツアイス・イコン社で製造された~と紹介されることが普通です。

でも、実際は1914年頃にネッテル社によって発売されたとするのが正しいようです。そして、1919年にコンテッサ・ネッテル社となってからも製造が続き、1926年からはツアイス・イコン社で製造されて1931~32年頃まで造られたようです。

実際のピコレットを見ると、レンズボードに「ツァイス・イコン」のマークが記された個体(上の画像)と、「コンテッサ・ネッテル」のマークが記された個体があります。これらは、それぞれの時代の製造であることが分かりますが、稀に両方のマークが記されたものもあるようで、それは過渡期に「コンテッサ・ネッテル」時代のものに、「ツアイス・イコン」のマークを「Piccolette」の文字の下に追加したのではないかと思います。

では、最初期のネッテル社時代のものはどうなっているのか?ちょっと調べ切れませんでした…。

で、下の画像の個体。マークが消えてしまったからなのか?手書きで「コンテッサ・ネッテル」のマークが記されています。でも、Nettelの文字がすべて書けずに、いい加減に誤魔化している感がちょっと滑稽でもあります。

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2023年11月22日 (水)

座っちゃう人

本日水曜日は、我楽多屋の定休日です。よろしくお願い申し上げます。

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二代目の「先週撮ったもの行ったとこ」は、銀座です。

最近の銀座には外国からの旅行者らしき人が多くなっています。コロナ禍前はアジア系の人が圧倒的に多かったと思いますが、今は欧米系の人の方が多いように思います。

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2023年11月21日 (火)

消す人

本日第3火曜日、明日水曜日は我楽多屋の定休日です。よろしくお願い申し上げます。

 

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さすがに30年もカメラ屋やっているので、無駄な?知識も付いています。このビューファインダーを見てすぐに、コムラーのビューファインダーであろうことが推測出来ました。

その後に値札を付けようと検品していると、「MADE IN JAPAN」の刻印が黒く塗りつぶされている跡が容易に発見出来ました。

ちょうどその日の朝のこと、家の浴室のシャワーヘッドを替えたばかりで、そのシャワーヘッドに「MADE IN JAPAN」と記されていたために少し安心したような気分になっていたので、ビューファインダーの塗りつぶされた「MADE IN JAPAN」を見て、複雑な気持ちになりました。

でも、このビューファインダーは60年くらいは前のものだし、シャワーヘッドとは全然違う分類のものだし…。

よく見ると、塗りつぶされた「MADE IN JAPAN」の上に「K」の文字も塗りつぶされているのに気付きました。「Komura」の「K」でしょう。しかし、K以外の文字はほとんど跡がない…。もともと、「Komura」の刻印は浅いのか?それともより入念に塗りつぶしたのか?

改めて、このビューファインダーの刻印を塗りつぶした人の考えをいろいろと想像してみるのが面白いです。

 

 

2023年11月20日 (月)

革ケースについて

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アイレス35 ⅢSの革ケースにちょっと気になる場所を発見しました。

底ケースと上カバーを繋ぐ部分が2ヶ所あるのです。ひとつは、底ケースの背面側にパチッと留めるボタン型のホック(水色の矢印)。もうひとつは、底ケースの底側に引っ掛けて留めるタイプのホック(黄色の矢印)。

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革ケースの多くは背面側だけで留まっているものが多いと思います。何で、アイレスのこのケースは2重なんでしょう。

両方留めた状態で上カバーを開けて下げるとこんな状態。

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底側の留めを外して背面側だけ留めた状態で、同じように上カバーを開けて下げるとこんな状態。

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これ、カメラをケースに入れたまま撮影する時、好みで選べるように2段階になっているんでしょうか???上カバーがヘリコイドの操作などで邪魔にならないよう~上カバーをガバッと下げてしまいたい派と、ヘリコイドの操作などが多少窮屈になっても~上カバーがあまりブラブラしない方が好ましい派と。

多分、別の理由があると思います…。

また、この革ケースの別の部分で手が込んでいるなぁと思ったのが、底ケースの側面に開いてる穴。ボディにあるストラップアイレットやシンクロ接点が被さらないように、ちゃんと穴を開けているのです。

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いろいろ考えて作られたケースっぽいので、上カバーの留めが二重になっている理由も知りたいものです。

 

 

2023年11月19日 (日)

フィッシュアイ!?

先日、お客さんが「ペンタックスのフィッシュアイズーム、中古で安いのを見つけて買ってしまいました~」と切り出されましたが、「あまり使い道無いんですけどね…」というオチ。

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どの世代のフィッシュアイズームか詳細を伺うのを忘れましたが、ペンタックスは自社サイトで「フィッシュアイズームの歴史」なんて見出しでコピーを書いているくらいなので、こだわりがあるのでしょう。1995年から3世代フィッシュアイズームを製造しています。

私が「分かります。フィッシュアイって案外と使い道無くて、すぐに飽きちゃったりしますよね。でも、何故か一度は持ってみたくなる…」なんて返すと、お客さんが「ペットをかわいく撮ってみたりとか…!?鼻デカ写真なんて流行りましたよね」と。

そこでつい…偏屈な返事をしてしまいました。「あ、うちの猫は美猫なんで、それはなかったです」と、バカ飼い主発言をしてしまいました(笑)。

下の画像は実際にフィッシュアイレンズで撮ったものではありません。今日の記事用に疑似的に作ったもの。もともと普通に撮ってあった画像をコンパクトデジカメに搭載されている魚眼風アートフィルターで複写しました…。

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2023年11月18日 (土)

鳥がカメラを掴んでる

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正直なところ、このカメラについてあまりよく知りませんでした。

ドイツ・ドレスデン近郊にあった「Beier」(バイエル)という会社で作られた、「Precisa」というカメラ。カメラ名はどんな発音するのか?自信ありません。

1936年に登場した初代のみ4.5×6フォーマットで、翌年登場のモデルからは6×6フォーマット(4.5×6のマスク付き)に変わって、1950年代まで作られていた模様。

このモデルは正確に分かりませんが、1938年くらいのものかと…。

で、何を話題にしたいかというと~背面の貼り革に型押しされた「Beier」のマークに小さなカメラが描かれていることに気付いたからです。

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それを見やすく画像に収めようとしたのですが、反射したり・黒く潰れたりで実に難しい…。その苦労をしている最中に、カメラの上に羽ばたく鳥(猛禽類?)も描かれているのに気付きました。鳥がカメラを掴んでいたのです。このカメラの場合、背面の真っ平な面ではなくて少し折り目の部分にマークがあるので、鳥に気付きにくかったのです。

分かりやすい画像が上手く撮れないので探したところ見つけましたよ。説明書の裏表紙に記されていた同じマークを。

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2023年11月17日 (金)

カメラホリック レトロ Vol.3

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今年も澤村さんのオールドレンズの季節になりました。

10月31日に発売された「カメラホリックレトロ」のVol.3は「オールドレンズ・バトル 歴史的銘玉 vs 新定番レンズ」が特集です。

いつものように責任編集の澤村徹さんが見本誌を持って我楽多屋に寄ってくださいました。ありがとうございます。

私が本の内容を下手に説明するのは良くないから、それはしないことにしているのは毎度のこと(^^;)。でも、今年はチョットしようかと思いますが、これ言っちゃっていいのかな…。

本の副題や表紙にも書いてある「オールドレンズ・バトル 歴史的銘玉 vs 新定番レンズ」。これを見ると私なんかは、新旧レンズのバトルがされているように思ってしまいます。でも、ちょっと様子が違うんですよね。

Amazonのサイトで閲覧可能なサンプル画像にある目次ページで確認が出来るので言っちゃってもOKでしょう。内容的にはPart.Ⅰが歴史的銘玉で、Part.Ⅱが新定番レンズなので、レンズはバトルしていません。バトルをしているのは、各レンズに対しての評価を澤村さんと上野さんでバトル対談しているのです。

読む側を飽きさせない独特な展開になっています。