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我楽多屋で買った  モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第249

ソニーのコンデジのダミーカメラ これ結構レア物ですよ

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我楽多屋さんの面白いところは、こういう通常の商品ルートでは流れていないようなものが手に入ることです。

ダミーカメラというのはカメラメーカーが商品の見本用に小売店などに配布するもので、一般には手に入りません。しかも、その製造台数は限られているからデジタルカメラをコレクションしようとは思いませんが、デジタルカメラのダミーカメラならコレクションの価値があると以前から考えています。

大昔1973年の話になりますが、当時世界でトップクラスのカメラ雑誌であるスイスのカメラという印刷が非常に良い美術雑誌があって、そこに私も作品を発表したりしていたのですが、そこの名物編集長アランポーターさんにスイスはルツェルンのお宅にお邪魔したことがありました。自宅の応接間にフォコマートの引き伸ばし機が飾ってあって、その引き伸ばし機のランプハウスの上に新品同様のライカM3が置いてあるのです。

そんな不安定なところにライカを置いて落としたらどうするんですか?と、私が聞いたら触ってみてくださいとポーターさんは言うのです。手に取ってみたら、それは重さがほとんど感じられないようなライカでした。つまりそのライカはダミーカメラだったのですね。ポーターさんは訪問者をからかうために、わざとそんな不安定なところにライカのダミーカメラを置いて、本物と勘違いさせるというブラックジョークの人だったわけです。

しかし、これは40年前のストーリーであって、今の時代ならちょっと書き換えなければなりません。

ライカコレクターの間ではこのようなダミーカメラは本物のカメラよりも最近価値が上がっているんです。だから現代にポーターさんの家にお邪魔したとしたら、本物のライカはそこら辺の机の上に置かれているとして、レアなコレクターズアイテムであるダミーライカの方はちゃんと立派な展示ケースに並んでいそうな気がします。

このソニーのデジタルカメラのダミーはちゃんとレンズを外すことも出来るあたりが良くできています。それでレンズを外してみると本体にちゃんとAPS-Cサイズのセンサーがセットされているという感じがリアリティーがあって好きです。もちろんセンサーは本物ではなくて、色が似たようなプラスチックを使っています。こーゆー段階の実用にならないカメラの方が、カメラの本質をうまく存在感で盛り上げているという気がします。

日本の人のカメラに対する潔癖症というんでしょうか、自分の持っている全てのカメラが全部完璧に動かなければいけないという考えがありますね。でもそういう人はカメラを整備すると安心してしまって実際に写真は撮りません。ダミーカメラというのはそこら辺のカメラ人類の欲望に対する一種の警告ではないかと思っています。

考えてみれば、新型デジタルカメラが出るたびごとに最先端の新品を買って、それで全く使わないという人が意外と多いんですね。ですから、カメラメーカーは作動するカメラとダミーカメラの2つを販売する方が商売になるのではないでしょうか?

 

 

(2020.7)