アローカメラ         &我楽多屋

我楽多屋で買った  モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第240回

1976年9月期限のコダックのベリクローム50を16本買いました。

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私のChotoku Camera NotesでTLRカメラの話をやりました。

1980年のことになります。長年住んだヨーロッパから極東の日本に帰ってきて、さて何をやろうかと自分でもどうして良いか分からないので、当時住んでいた多摩川のほとりの多摩川住宅というところから、東京の地理を実際に勉強するために歩いて渋谷に行きました。その勢いでさらに新宿まで歩いて、新宿のヨドバシカメラでこのコダックのベリクロームを買いました。

確か当時80円位だったと思います。消費税なんかまだない時代の話です。でも今と違って貨幣の価値が違うから当時の80円ていうのは、それなりに結構なお値段でした。

調布から渋谷経由で新宿まで徒歩。30代だからこういうバカ歩きができたものだと、今更ながら感心しています。

でも私の周りの諸先輩は石川文洋さんにしても、ニューヨークはロングアイランドのプロフェッサーHigaにしても、80代で北海道から沖縄まで3000キロ以上歩いているのですから、凄いなと思います。

元気という事からすれば、我楽多屋さんの向かいにある有名なアローカメラの買取職人さんだって元気元気です。

その当時から各種のTLRカメラは持っていたのですが、1番よく使ったのはこのカメラ・オリンパスフレックスでした。レンズの明るさはf2.8で、そんな明るいレンズを開放で使う事は無いのですが、わざわざ夜景を絞り開放で撮影したりしました。

よく我楽多屋の二代目さんが、カメラがカメラを呼ぶというお話をしていますが、今回はまさにその通りでした。1980年代の初めに東京を歩き回っていた時に使ったフイルムがこのフイルムだったからです。

そのことをちょっと思い出しながら、私の好きな新宿の富久町とか余丁町あたりを歩きまわって、ちょうど交通安全週間の時で富久町の広い通りに交通安全の黄色いテントが出ていて、そこで私と同年代のお爺さんお婆さんが退屈そうにしているのを横目で見ながら、かなり遠回りをしてから我楽多屋さんに行きました。

二代目さんはちょうど品物が入荷したばかりで値付けをしているところでした。なんとそこに懐かしいベリクロームがあったではありませんか。これはカメラがカメラを呼ぶというのではなくて、カメラがその当時の記憶のフィルムを呼び出すというのかなと非常に面白く感じました。ブレッド&バターですね。

1本100円の黄色い値札が付いていて16本あったのですが、100円おまけしてくれて1500円。消費税がまだ8%のうちに買っておいて良かったと思いました。

二代目さんのお店のキャッシュレジスターも10月1日の午前0時から8%から10%に自動的に上がるのだそうです。でも我楽多屋さんで扱っているような品物は、消費税が上がって売り上げが落ちるという事はないと私は確信しています。だってこれって、趣味の品物ですから生活に必要なものでは無いからです。ここんとこ重要なんですね。

このモノクロフィルムの使用期限が1976年という事は、ちょうどその時、私はヨーロッパのドイツ語圏を巡回した現代日本写真家展で来日していた時のことです。私が29歳の時でした。その時に期限切れになったフィルムを使うというのは、何か自分が20代に戻ったような気がして嬉しいです。

40年前のフイルム、モノクロームだったら全然問題ないと思います。プラハの大写真家Josef Sudekはわざわざ好んでサープラスの期限切れのフイルムを使っていたのだそうです。それが彼の優れた写真の仕事の重要なトーンになっています。

モノクロフィルムは期限切れに限る!!!

 

 

(2019.10)