我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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2013年3月

2013年3月 6日 (水)

ライカとミノルタ

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ライカ好きな人なら当然のようにご存知なのでしょうが、ライカの1眼レフ「R3」(1976発売)は、ミノルタ「XE」(1974年発売)をベースにしています。

それというのも、1970年頃からミノルタとライツ社は技術・製造面で協力関係にあって、ライカブランドのカメラでいうと、ライカCLやライカフレックスSL2がその産物と言われています。

そして、このR3は、先に登場していたミノルタXEをベースにしているので、操作系など外から見える部分でも、見るからに酷似していたりします。R3のオリジナル機能としては、スポット測光が追加されています。

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ライツ社がこうしてミノルタと提携に至ったのは、レンジファインダー機の開発でライカM3に太刀打ち出来ないと判断した日本のカメラメーカーがこぞって一眼レフ開発や低コスト化に励んだ結果、皮肉にもライツ社はその流れに後れを取ってしまうのです。その打開策の一つとして、ミノルタと協力関係を持ったと言われています。

実はこのR3ネタを思い付くちょっと前に、こんなライカも入って来ていました。ボディ上面にあるセルフタイマーのボタンが他のカメラとうりふたつだよなぁ~と気になっていたのですが、今、解決しました。

これは前述の協力関係時代の後になりますが(1988年)、ミノルタがOEM提供したライカブランドのプラスティック製コンパクト「AF-C1」。ミノルタでは、「MAC-TELE」(マックテレ)というネームでほぼ同型のモノが出ていました。

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2013年3月 5日 (火)

ニコンS3 オリンピック

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ニコンのレンジファインダー機「S3」には、「オリンピック」モデルと呼ばれる1965年に販売されたブラックボディがあり、その数2000台と言われています。

オリジナルのシルバーボディは1958年に発売されて、数年の間(1961年くらいまで)に12000台ほどが造られたと言われています。

「オリンピック」という通称には諸説ありますが、東京オリンピック(1964年)で報道向けに提供されたカメラ「SP」に付いていた標準レンズ(ガウス式)と同じものを、ブラックボディのS3に付けて再生産したので、そう呼ばれるようになったそうです。

さて、S3ですが、30余年を過ぎて2000年に復刻されます。そのシルバーボディは完全予約生産制という形を取り、7~8000台も製造されたと言われてます。そして2002年には、2000台限定でブラックボディも復刻されました。

前置きが長くなりましたが、先日、アローカメラにブラックボディのS3の買取り依頼がありました。これからの検証は、あまりプロチックな目線じゃありませんが、その分、楽しめるのではないかと思って報告します。というのも、希少なモデルゆえ情報が少ないのと、それゆえ、疑いの視線から入ってしまう点、お許しください。

このブラックのS3、外装がビックリするくらいキレイなのです。なので、まず、2002年の復刻版でしょ!?と疑ってしまいます。ただ、2002年の復刻版は製造番号の刻印部分やフィルム感度表記などで、すぐに見分けがつく為に、この個体が2002年の復刻版ではないことは、程無く判明します。

次に、後塗りでしょ!?と疑ってしまいます。これについては、まず否定的な視点から、当時の黒塗りはもうちょっと厚みがあって艶っぽいのでは?などという感覚論だったり、こんなきれいな外装を保てるのか?などという漠然とした観点がメインになります。

しかし、肯定的な視点からだと、ビスが外せるところは別として、リベット止めしている部分の塗装は難しいらしく、この個体のその部分はかなりキレイだからホンモノだろう?など、現実的な観点が挙げられます。

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あと、別角度からの推測では、この個体、外装はとてもキレイなのだけど、ファインダー内部にカビや劣化が見受けられるのです。例えば、中古カメラブームと言われた15年くらい前に、後塗りされたものだとした場合、これだけ丁寧な塗装をしたら、ファインダー等のクリーニングも一緒にするだろう。だとしたら、10年少々で内部だけこんなに劣化するものだろうか…?この外装と内部の劣化の差は、相当年数に渡って使われずに保管された結果もたされた、ファインダー内部のカビや劣化だと考える方が適当。

と、まぁ、こんな風にああでもないこうでもない…したのですが、結果的には製造番号からして1965年の通称「オリンピックモデル」であろうことが簡単に判明しております。

あと、興味深いところでは、レンズフード。これまたキレイな状態を保っているのですが、取付け部分の溝の辺りだけ、塗装が微妙に変色して青味がかってきていました。これって、ニコンF系のレンズフードなどでも案外と見掛けるパターンで、これもまさに時代物であることを物語ってくれています。

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2013年3月 4日 (月)

マリンメーター

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ニコノスのような全天候型カメラがあるのだから、全天候型露出計があったってよいはず。

例えばニコノスの場合、「Ⅲ型」以前のモデルにはAE機能が付いてないのだから、余計にあって然り。

で、このセコニックの「マリンメーター」(上の画像内右側)は、まさにその全天候型露出計!画像内左側はスタジオ用露出計としてポピュラーなセコニック・スタジオデラックスの初期モデル「スタジオS」。

マリンメーターをちょっと見たところ、水深○○メートルまでOK!とか、大きく性能を誇っていないのだけど、、、取扱説明書の性能表を見たら「許容水深60メートル」だそう。

同じく取扱説明書の冒頭に載っている水中造形センター代表館石氏の推薦文には、60メートル以上は暗黒~とあるので、それ以上潜ったとして計りようもないのか…。

また、「水中に限らず、台風・雪害などの陸上での取材撮影にもご利用になれる~」とあるから、我々アマチュアが雨天用に使ってみても良いですよね。

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第88回 得?or 特?

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久々の得特企画です。

題して、巨大なレンズリアキャップ付のキヤノンEFレンズ、完璧ならまだ結構いいお値段する2本。

まず1本目は画像右側の「EF50㎜F1.8」のⅠ型です。少々クモリがあります。キレイなものなら、まだ1万円以上の値付けで売られている、このレンズ。でも、これには撮影にはまず影響なさそうなレベルですが、クモリがあります。よって、巨大なリアキャップとして、とりあえず動作しているEOS-Kissを付けちゃいます。お値段は8,800円。

そして2本目は画像左側の「EF135㎜F2.8 ソフトフォーカス」。結構クモッていて、普通のレンズならソフトフォーカスになっちゃうだろうなぁ~レベルです。ただ、もともとがソフトフォーカスレンズですから。。。まぁ、そこら辺はどんな具合か楽しみながら使っていただければ。お値段は同じく巨大なリアキャップ(EOS-Kiss)付で5,800円。

2013年3月 3日 (日)

麻縄ストラップ2

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少し前に麻らしきストラップを話題にしました

あの時は衝撃から、まったく取材が出来なかったのですが、今回はちゃんと画像を押さえて、お話も伺うことが出来ました。ちなみに、前回とは違うお客さんです。

以下、事情聴取(笑)の結果です。

浅草橋の問屋さんで適当な麻縄を見つけたので購入しようとしたら、1本7mを10本単位で売っているので、さすがにカメラのネックストラップ用には多過ぎ…。特別に半端を売ってもらったそうです。

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で、ネックストラップ用に両端の加工は、折り返した部分にレザークラフト用のロウ引き糸でグルグルと固く締め付けて、環を通して完了。ロウの作用か、使ううちに糸がズレたりしないそうです。

あと、麻縄から毛羽立った部分はライターでちょっと焼いたとか。

このワイルドさが何とも言えません。

2013年3月 2日 (土)

アイレス35V

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「アイレス(AIRES)」と言っても、若い人にはどこのカメラ?と思う人が多いハズ。

昭和30年前後にあった日本のカメラメーカーです。

60年前に僅か10年間、カメラを作っていただけなので現存数はかなり少ない部類。M型ライカに似た「アイレス35ⅢC」や、普及機の「アイレスバイカウント」などは、中古カメラ屋を回っていれば時々見掛けることは出来ると思います。

が、この「アイレス35V」は、アイレスの中でもかなりレアな部類。アイレスで唯一、レンズ交換可能な機種。

調べたところ、1958年当時、45㎜F1.5付で38,000円(上の画像は45㎜F1.9付)。交換レンズは、広角35㎜F3.2が13,000円、望遠100㎜F3.5が19,000円。

参考に前述の35ⅢCがF1.9付で21,500円(1958年)、バイカウントがF1.9付で14,600円(1960年)。

と、かなりイイお値段設定がされており、「国内では高級過ぎてあまり売れなかった~」という流れのようです。

また、朝日新聞社発行の「広告に見る国産カメラの歴史」によれば、「輸出優先でひそかに製造されていた…」なんて書かれていました。そりゃ、希少ですわなぁ~。

そして、この個体。巻上げレバーの軸の部分に「E P」と刻印されて、輸出用だったことが確認できます。

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2013年3月 1日 (金)

わくわく通信 Vol.11

常連Bさんから届く「わくわく通信」、ずいぶん久しぶりと思ったら去年の6月以来

といっても、去年の12月「オリンパスM-1ブラックの検証」をわくわく通信とは題さなかったので、実質的には12回目。

今回は先だった我楽多屋で買っていただいた「ニコマートFS」の検証。私はこの事実を知らなかったのでビックリしました!

 

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今日は、「ニコマートの秘密」の検体検証結果を報告します。

今回の調査の目的は、前にニコンのホームページで紹介されていた「ニコン・ファミリーの従姉妹たち」(豊田堅二氏)の「ニコマートFT」の回に記載されていた1枚の写真と記事でした。

内容は「ニコマートFT」は発売直前まで外光式で量産準備して、発売4ヶ月前にTTL方式に変更したとのことです。そして、初期型のFT or FSには、ダイキャスト部に外光式の孔があり、それを応急で塞いだものがあったそうです。

先日、購入した「FS」は生産数がきわめて少なく国内5,000台(FTは70,000台)とのことから、上記の外光式の痕跡が本体内部にあるのではないかと推定しました。

<検証内容> 

  • 「FS」と比較検証のために「FTn」も分解して、上記の外光式Cdsの撮り付け部の痕跡がないかを確認してみました。

<検証結果>

  • 「FS」のフロントダイキャスト部には、資料写真にある試作品の外光式Cds取り付け位置に明らかに、後からダイキャスト金型を修正して孔を埋めた跡がはっきりと確認できました。(裏側もCds取り付け部修正で丸く肉盛りした状態を確認)
  • 比較のために分解した「FTn」では完全にこの部分は表も裏もフラットに修正されており、上記のような痕跡はまったくありませんでした。

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*画像左上・右上とも、上がFS、下がFTn。 画像左下はFS。 画像右下はFTn。

ニコンのロングセラー機である「ニコマートFTシリーズ」にも、発売直前に色々なドラマがあり、今回その初期型に技術者の苦労の痕跡を発見できたことに感動しました。

もし「外光式Cds」のまま製品化されていたら、これほどのロングセラーにもならなかったと思います。分解時の写真と資料もお送りします。

また、ワクワクを探しにおじゃましますね!

常連Bより