モノホンのM-1ブラックらしい
先日、うちの店にオリンパスM-1のシルバーとブラックが1台ずつ入って来ました。どちらも、使い込まれたうえに動作的にも気になるところのあるジャンクでした。
オリンパスM-1といえば、OM-1の最初期のもので、基本的には同じモデルなのですが、ライツ社から自社のカメラの型番と紛らわしい~というケチがついて、改名する前に出回ったごく数千台と言われるレアものです。
私も今回まで詳しく知らなかったのですが、M-1にはブラックモデルが正規に販売されたという事実はなくて、プロカメラマン向けに極々少数出回っただけらしいのです。その数、20台とか50台とかいうレベルで・・・。
で、うちに来たブラックはモノホンなの?ということで、自分なりに情報集めていろいろチェックしました。接眼部の形状、マウント部のビス、フィルム室の形状やビスの数などなど。
その結果は、ボディ各所にM-1の特徴とOM-1と思われるパーツが混在していて、判断しかねていました。
一番の茶番は、OM-1にM-1のブラック塗装した軍幹部を載せただけ~という結末なんだけど、私の調査でも、その茶番であると結論付けられない物理的要素と、この個体の出所がプロカメマンである点がどうしても引っ掛かるのでした。
そこへ、常連Bさん登場。Bさんはここしばらく、M-1の情報収集されていることを知っていたので、是非ともご意見を~と思ったのです。
Bさんといろいろとお話をした結果、この謎のM-1をBさんに委ねることにしたのです。その結果報告が以下です。お楽しみください!
今日は、例の「謎のM-1ブラック」の検体検証結果を報告します。
<検証事項>
①本検体は中身は本物のM-1であるか。
②外装のブラックは後塗りではないか。
③MD(モータドライブ)対応はM-1の改造か中身をOM-1と交換して対応したのか。
<結 論>
・本検体は、オリジナルのM-1ブラックであると判断する。(①、②)
・MD対応はM-1を改造している。(③)
<検証内容>
①添付の分解は左側が、本検体のM-1で、右側が比較のためのOM-1です。分解してわかったことは、本検体はまちがいなくM-1であることが判明。(メーターの低照度傾向SW有無、プリズム押さえ、巻き上げレバー構造、底面構造部連結レバー形状・・等)
②この後塗りブラックかどうかが一番判断が難しいですが、カバー裏面の仕上げ状態や、巻き上げレバーの加水分解した樹脂の下の塗装もブラックであったこと、本体の長期使用による剥がれ部分の状態から見て1973年当初からの塗装と判断する。
③MD対応については、当時のオリンパスのサービスセンターではMD仕様への改造を受け付けていた事実から、本検体購入後にメーカーにて改造されたものと 判断。(本体ダイキャストはM-1のものであり後加工で底部に電源接点撮り付けした痕跡あり。)
*今回のこの検証作業は、最高にワクワクした体験でした!実際に前に購入したM-1ブラックは最初から「カバーはM-1中身OM-1」との正直表示で安く購入して楽しんでいましたが、今回の検証は、正直ドキドキしながらの検証でしたが。結果はまず間違いなく本物でした。
オリンパスのHPにも写真入りで「一般に販売しなかった・・」との記載がありますが、本検体が元プロカメラマンの所持品との話からも、本物のM-1ブラックであるとここに判断します。
*最後に初期型MDを取り付けて快調に動作したことも写真で報告します。
では、またワクワクを探しにおじゃましますね!
常連Bより