一昨日のニコンFのパンダの時に、映画「マディソン郡の橋」でカメラマン役の主役を演じたクリント・イーストウッドが使っていたのが、ニコンFのパンダ仕様だったことに触れました。
そしたら、映画の影響!?で同じ仕様のニコンFを作りあげていた常連Sさんから、早速、上の画像を提供いただきました!
ボディはニコンFのシルバー、ブラックのアイレベルファインダーが載っています。ボディ下に装着されているのは、F-36というモータードライブ。これに、直結されたバッテリーケースは、米テクニカル・フォトメーション・インストゥルメンツ製のN-36。
さらに、レンズやフード、ソフトシャッターレリーズ、ストラップ金具まで???かなり忠実に再現されています。ここまでやるのは、かなりのツワモノですね。
映画のワンシーンを勝手に掲載するとマズいかな?と思ったのでここには載せませんが、「マディソン郡の橋 ニコン」あたりでグーグルの画像検索すると出てくると思うので、クリント・イーストウッドのニコンFと比較してみてください。
追記:Sさんから追加情報あり~。「何故、こんなにこだわったのか。それは、自分はこの映画を見てカメラマンになることを決意して、次の日に勤めていた会社に辞表を提出したという、、、ここまで組み上げるのに、10年掛かりました」ということです。筋金入りです、脱帽。
「タナック(Tanack)」というカメラを知っているのは、かなりディープ目なマニアさんと限定しても過言ではないでしょう。
1950年代に田中光学というメーカーが造っていた、ライカ型のレンジファインダーカメラに与えられたネームが「タナック」でした。
ちょっと前にそのタナックのレンズフードが、がらくた整理中に出てきました。「おぉ、これはレアだなぁ~」と思いながらも、「値付けが微妙だよな~」などと考えながら、ちょっと放置しちゃってました。
40.5ミリ径のネジ込み式、標準レンズ用の深さ、シリーズⅥフィルターを挟み込めるタイプの金属製フード。
その「TANACK」の刻印だけで、欲しい人にはそれなりの価値を発揮しますが、その欲しい人の出現率がどれほどのものなんだろう…?ってあたりに悩んでいたのです。
その数日後のある夕方、長徳先生がご来店。珍しい時間のご来店だと思ったら、どうやらアラフネ界隈で某打ち上げがあって、その前に顔を出していただいたのでした。
いくつかお話をさせていただいていると、「今日はこれを持ち出して来ました!」とタナックをトートバッグから取り出されたので、あっ!と思って、「レンズのフィルター径いくつですか?」と尋ねると。「タナーのF1.9だから。40.5ですね」と。
これはっ!と、数日間放置していたフードをお見せすると、「それください!」という運び。
値付け前だったので、お互いの腹の探り合い!?になりました。私の心づもりより、いくらか安い値段になりましたが、これはタイミングってヤツです。
値を付けて並べていたものなら話は別ですが、入荷直後の陳列前の品物の場合には、普段から時々お客さんとの間で行われているゲームみたいなものだし。
先日来、ニコンだ、黒皮だ・・・などと言ってるので、不思議なものを呼んでしまいました。
ニコンFのアイレベルファインダー付ボディなんですが、色がパンダ状態。シルバーボディに、ブラックボディ用のアイレベルファインダーが載っていました。
これでも機能的には何の問題もないし、特にカメラへ興味のない人には何とも思わないんでしょうけど、ちょっとでもカメラに興味のある人には、気になって仕方ない取り合わせではないでしょうか!?
このようなニコンFのパンダ仕様で有名なのは、映画「マディソン郡の橋」でクリント・イーストウッドが使っていたのが、今回とは逆パターンのニコンF。ブラックボディに、シルバーのアイレベルファインダー付でした。
この映画の影響を受けて、ニコンFを購入した人も多いと聞きますね。
また、パンダと言ってよりメジャーなのはライカM6かもしれませんね。初期のころ、シルバーボディなのにシャッターダイアル、巻き上げレバー、巻き戻しクランクなどにブラック用のパーツを付けたM6があったんです。
その一時期以外は、シルバーボディにはシルバーパーツ、ブラックボディにはブラックパーツが付くので、そのシルバー・ブラック混合モデルをパンダって呼んでます。
さらに、うちの店では、こんなものを見掛けたことがあります。これは故意的に、シルバーとブラックを組み合わせたものなんですけど、ペンタックスのパンダ仕様。
このブログでは案外話題にすることが多い「外付けセルフタイマー」。昔はセルフタイマー機構が付いていないカメラも多かったのです。
今回紹介するのは、かなりレアモノ・年代モノと思われるZEISS IKON(ツァイスイコン)製。
その形状からして、今まで紹介してきたモノとは違いそう。シャッターボタンに開けられた穴にネジ込むタイプでなければ、バルナックライカやニコンFみたいに、シャッターボタンにガバッと被せるタイプでもない。
これ、どうやって使うのかと思いきや、、、買取り名人曰く「こうやって~」だそうです。それが下の画像のような感じ。
レリーズの持ち手側に、このセルフタイマーを装着して使用するらしいです。で、レリーズは普通にカメラ側に装着。
ゼンマイを回すと、上に突き出た腕みたいな部分が伸びるので、そこにレリーズの持ち手部分をセット。スタートさせるとその腕の部分が徐々に縮んでくるので、ここに挟んだレリーズの持ち手部を指で押したのと同じ効果が得られるってわけです。
この個体の特性なのかどうかは不明ですが、動作音がとても繊細なうえに、非常に動きがスローでした。
あとから、前回みたいにその動作状況を動画に撮っておけば良かった~と後悔(笑)。でもこれは、先日の銀座松屋中古カメラ市の戦利品として、カメラ市の最終日に常連さんが立ち寄って見せてくれたモノ。うちの店に入荷したものでは無かったのだから仕方ないんですけど。。。
きっかけはチッポケなカメラだったのだけど、カメラにも「死に化粧!?」ってあるかもしれない!と気付きました。
まず最初に、死に化粧とまでは行かないまでも、カメラを売却する際には簡単に落とせる汚れや埃などはキレイにしてから査定に出した方が得策です。当然ながらカメラを見る側(買取り業者)に、良い印象を与えた方が良いからです。
逆の例えの方が分かりやすいでしょうか、、、汚いカメラのままでは、業者側は余計な心配(見えない部分の不具合など)をして、リスクを冒してまで高値を付けたくないからです。
でも、故障個所を修理までして売りに出すのは得策ではありません。同じ直すなら、我々業者の方が安く直す手段を持っていますから、お客さんの方でお金をかけてまで直すのは勿体ないこと。それこそ、修理代以上の買取り価格が付かないなんてことにもなりかねません。
話を戻します。
慣れ親しんだカメラを手放すにあたっては、感謝の意味を込めてキレイにしてから~という人もいらっしゃるようです。素敵な思いですよね!また、「嫁に出す~」みたいな言い方をした人もいらっしゃいました。
で、この話題を持ち出そうときっかけになった出来事は、先日、写真部所属の大学生が使わなくなったカメラやレンズなどを持って来てくれた時のこと。
実際のところ、ジャンク品や市場性の低いものばかりだったので大学生も「買取りじゃなくて、何か物々交換でも出来れば~」とのことでした。
その中にあったのが、110フィルムを使う簡易型のトイカメラ。カメラの前面に見慣れない生地が貼られていたので、「これは?」と尋ねると、「元から貼ってあったシールが剥がれていたので、実は昨日それを貼ったんですよ。死に化粧にと(笑)」。
その布の具合、模様の配置具合がとても洒落た感じだと思いませんか?
そして、大学生はこんな風に言ってくれました。「自分で持っていても仕方ないから、こんなものでも誰か必要としてくれる人がいれば~」と。
もちろん、うちの店で引き取らせてもらったカメラは死ぬわけじゃありません。私どもの手で次の活躍の場へ橋渡しさせていただきます。だから、正確には「死に化粧」なんかではないんですよね。「彼の元から離れる~」という意味で、そんな例え方をしただけなんでしょうけど、その気持ち、なんとなく分かりますよね!
カメラ界における黒皮病とは、黒塗りボディのカメラに惹かれてしまう病気のこと。
金属カメラ全盛の時代、カメラといえば「銀色ボディに黒い貼り革~」というのが一般的だったかと思います。今でもカメラを表わすアイコンが、そんなイメージだったりすることもあって面白いところ。
でも、機種によっては黒塗りボディもラインナップされていて、その多くは標準ボディより少し高値の設定がされていました。また、写り込みがないという理由から、プロが使うもの~的な見方もあったかと思います。
そんな背景からか、もともと黒塗りボディの方が出回っている数が少ないため、今となってはより希少性が高まっていたり、プロ仕様的な憧れだったり~で、黒皮病に感染する環境が整ってしまっているのです。
黒皮病の症状の一つとしては、酷使された黒塗りボディに惹かれてしまう症状があって、塗装が剥げて地金の色が出て来るのが渋い~なんて言い出したりします。
また、今回の画像にあるような状態の良い黒塗りボディには惚れ惚れするような美しさがあるため、眩惑すら感じて時には「舐めてみたい~」なんて言い出す人もいたりします。
たしかに、以前紹介したコニカFPブラックの塗装面には独特な艶があり、とらやの羊羹のような黒塗りだったりしますからね。
この病い、我々カメラ屋にとっては嬉しいことで(笑)、ドンドン流行り病い化して欲しいくらいだなぁ~と。