米国が技術を買いに来た
もうずいぶんと前に、このカメラ「アルコ35 オートマット」の巻き戻しクランクの形状を話題にしたことがありました。
撮影時は巻き戻し軸に格納されているような状態になっている、弧を描いたようなクランクは必要な時に離れるようになっていて、クランクの役割をするようになっています。
それ以外にも、改めて見ていると、実に凝ったカメラであることが分かります。
まず一番のウリは、レンジファインダー機でありながら、レンズの繰り出しにヘリコイドではなくて蛇腹を使用するなどして、35㎝までの近接撮影を距離計連動で可能にしています。
この独自の性能は、「米国が技術を買いに来た日本の独創カメラ」というキャッチコピーにもあったように、かなり凝ったものだったのです。
でも、実際には米国業者との取り引きは成立しなかった・・・。なのに、広告のコピーに使ってしまうあたりは何とも大胆。
ただし、近接時のパララックス補正までは出来なかったので、外付けファインダーで行ないます。
そのファインダーが取付けのアクセサリーシューに対して、微妙に右(正面から見て)にオフセットされるあたりが、何となく心憎い演出!?(理由はアクセサリーシューと、レンズの中心線がズレているから・・・)。
それから、結晶塗装された渋い角形フードは、なんとフィルターを組込めるようになっていてフィルターの交換も可能です。
当時の謳い文句としては、枠ナシのフィルターを差し替えて交換するので「経済的~」とも書かれています。
ちなみに、このカメラが登場したのは昭和31年ですが、同機構の初代は昭和27年に既に登場していました。
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