M-1の圧板
オリンパスOM-1は当初「M-1」という名称で販売されたのですが、ライツ社から自社のカメラと名称が酷似しているとケチがついて、すぐにOM-1と名称変更されるのです。そのため、出回ったM-1は僅か数千台と言われています。
しかし、M-1とOM-1はネームの差だけではなくて、巻上げレバーの指当て部分や巻戻しレバーにある印の形状・フィルムガイド部のネジの数など、幾つか僅かに仕様が違う点があるのです。(*OM-1のごく初期のモデルは一部M-1と仕様が一緒の部分もあるとか…。)
このようなオリンパスM-1の実態については、もうずいぶん前に話題にしたことがありました→https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2012/12/m-1black.html
さて、なんだかんだでもう半年以上前のこと。我楽多屋でオリンパスM-1のジャンク品を買って行かれた常連さんから、昨日、教えていただいたことがあります。
『M-1とOM-1では、フィルム圧板の形状が違うのだ』と。
恥ずかしながら、私はこの差について知りませんでした。お客さんも最近知ったそうで、ご自身がこの事実を知った経緯も聞かせてくださいました。
我楽多屋で買っていただいたジャンクのM-1、シャッターなどはそのままの状態でも騙しだまし使えるような状態ではあったのですが、修理屋さんに頼んで整備してもらったそうです。
整備から戻って来て撮影した結果、どうも片ボケするので、ほぼ同時に入手してクリーニングに出したレンズが原因だと思い、レンズの組み直しをしてもらったのに片ボケが直らない…。そこで、他の原因を探っていた修理屋さんから、M-1に付いていた背蓋がOM-1の背蓋だったために圧板の形状差で片ボケを起こしていたのだ~と連絡があって、原因が判明したという経緯だったそう。
前述のようにフィルム圧版の形状に差があることは私も知らなかったことなんですが、フィルムガイド部のネジの数に差があることは知っていたわけで、そこにヒントはあったことになります…。そう、余計にあるネジがフィルム圧版と干渉して、片ボケの原因になっていたわけです。
さて、そもそも我楽多屋にあったジャンクのM-1にOM-1の背蓋が付いていたことで、常連さんにも常連さんの行きつけの修理屋さんにも余計なお手間を掛けてしまいました。常連さんは「ジャンク品と覚悟で買ったものなので問題ナシ!」と言ってくださっています。申し訳ないと思いながらも、救われているのですが、個人的にはもう一つ、何故に背蓋が入れ替わっていたのか…ということが気になっています。
OMシステム自体がデータバックなどへの交換が可能なので、簡単に背蓋の脱着が出来ます。圧版は違っても背蓋の形状は同じなので(実はM-1とOM-1で材質は違うらしい)、うちの店に来る前のどこかで間違って入れ替わってしまったのかもしれませんが…、もし故意に交換されていたとしたら気持ち悪いなぁ…とも思ってしまうのです。
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