我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第295

京セラ・コンタックスのカメラを

プロテクトするためのレザーの小物にびっくり

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過去半世紀の日本のカメラとレンズとそれに付属するアクセサリーに関して、ガラクタ屋さんの二代目さんの知識というのはすごいものだと思います。それは実際に体験した経験がそのまま知識になっているからです。

世の中のカメラ研究家は、むしろその逆の方法をとっていて、現地のその当時の資料に当たってカメラやレンズやアクセサリーを分析するということになっています。ある意味それもカメラ研究の正しい方向ではあるのですが、私から言わせると、そういうやり方は、感心しないんですね。

資料分析よりも二代目さんに代表されるような、実際の体験が大切だと思います。それで思い出したのは四半世紀前の事ですが、ベルギー政府観光局のプレスツアーがありました。それでブリュッセルに到着してすぐ取材になったので、日本人のベルギー関係のジャーナリストの中の年配の1人が言うことが非常に面白かったです。

それは、「僕はすでにブリュッセルの事は資料で充分調べています。実際に街を見に行っても新しい事は無いから、ツアーには参加しません。」

私は写真家ですから、実際に撮影をしないと仕事にならないわけですが、ライターさんにはこういうタイプの人がいるのかとかなり驚きました。

それで京セラコンタックスのレザーのストラッププロテクターの話です。いつの頃か忘れてしまいましたが、例えばライカのM2とかM3でそれを流通させるときに傷がつくとまずいというので、カメラの両方のストラップの上にテープを貼るというのが流行しました。

そうしたら、ライカのメーカーがそれを受けて確かM6あたりだったと思いますが、ライカのトップカバーの両サイドにプラスチックのプロテクターを付けたんですね。こういうお客様本位のサービスというのは私は好みませんけれど、京セラコンタックスのカメラにしてもネックストラップアイレットでカメラ本体を傷つけると下取り値段が下がるということで、こういう商品が登場したのでしょう。

四半世紀前に、京セラコンタックスの広告の仕事をしていた関係で、フランスのブルゴーニュにRTS3を持って取材に行きました。京セラから提供された二台のカメラです。おそらくこういうネックストラップの擦り切れ防止プロテクターが付いていたのだと思います。

それよりも今にして、当時の電気カメラがすごいと思ったのは登場したばかりのリチウムバッテリーでしたが、ハードに使っているとフィルム10本撮影しないうちにバッテリーがダウンしてしまうのです。これには困りました。

ブルゴーニュのワインの畑を撮影に行って、撮影車からコンタックス1台持ち出して20分歩いてベストポイントで撮影をしていたらバッテリーがアウト。慌てて撮影車に戻ってバッテリーが入っているもう1台のカメラを持って撮影現場に戻ったら、それで40分のタイムロスです。

ガラクタ屋さんの二代目さんのフィールドワークのおかげで、そんな四半世紀前の仕事の細かいディティールを思い出すことができたことに感謝しています。

 

   

(2024.5)