フィルムカメラとMT車
先日、ネットニュースの『マツダが、あえて「MT車」を充実させる理由』(東洋経済ONLINE)という見出しに目が留まって読んでみました。→https://toyokeizai.net/articles/-/280659
いま日本国内で新車として売られる乗用車の98%が、AT(オートマチックトランスミッション)車だといいます。それなのにマツダがMT(マニュアルトランスミッション)車をほぼ全車種にラインナップしているのは、「運転する楽しさ」をメーカーのカラーとして押し出しているから。
高性能なATが増えて、速さを追求するうえでもATが勝っていたり、マニュアル操作が可能なATも存在しているにも関わらず、MTにこだわる理由はステアリング・アクセル・ブレーキ・クラッチ・ギアチェンジを操作することを、クルマの楽しみ方の一つとして大切にしているからなんだと。
クルマを目的地までの移動手段としてだけで捉えるんではなくて、運転操作を楽しむことも目的の一つなんだと訴えているんですね、マツダは。
また、MT車はペダルの踏み間違いやギア操作ミスによる事故の防止にも繋がると言われていることや、マツダが「手と両足を連係させるMTの操作に認知症を防ぐ効果があるのではないか?」という趣旨の研究を行っているということも書かれていました。
この話、デジタルカメラとフィルムカメラの関係によく似ているなぁ~と思いました。
デジタルカメラはその高性能化で利便性だけでなくて、写真のクオリティ面でもフィルムカメラをほぼ凌駕しているのでしょう。
でも、フィルムカメラ、特にマニュアルカメラの場合、フィルムを巻上げ・シャッタースピードや絞りを考えピントを合わせ・シャッターを切る、そのひとつひとつに頭を使い指先を使う行為が伴います。そこにMT車を操って運転することと共通性があると思います。
以前にこのブログでも話題にしましたが、私もスポーツカーとエコカーで似たような例え話をしたことがあります(→https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2014/12/post-ee69.html)。また、買取職人もフィルムカメラが認知症予防や高齢者の生き甲斐に役立つのではないか!?とそんな講演をしたがっていました(https://camera-kaukau.lekumo.biz/dailymeijin/2018/06/post-e4e4.html)。
いま、フィルムカメラ・マニュアルカメラを造っているメーカーが皆無に近いことを淋しく思います。代わりに我々中古カメラ屋が頑張ってマツダみたいな訴えをしないといけないんでしょうね。
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