我楽田屋
荒木町にある喫茶店「私の隠れ家」さん発行の「荒木町6番地新聞」。
今回で3号目。3号連続で寄稿させていただきました。
内容は来月で導入1年目を迎える「カメラ提供意思表示カード」のこと。
まぁ、このカードは本来、それなりの機材を持っていらっしゃる人が万が一の時に備えて持っていただければ~というものではありますが、街の喫茶店に立ち寄った人のお父様がカメラマニアだったり、その友達がご家族の遺品処理に困っていたり~なんてこともあるかもしれないわけで、載せていただくことにしました。
こうやって地道に、大切な文化遺産ともいえる貴重なフィルムカメラを守っていくのも我々の使命だと思っています。出来れば、皆さんにもご協力いただきながら。
だって、然るべきカメラ屋ルートに乗らないと、マニアの皆さんの手元にも回って行かないわけですからね。
ところで、このコラムの最終行。「我楽田屋店主」ってなってる。
文字校正の時に署名が抜けていたので指示したのに、そのまま校了になってしまったからだ、、、
なんか、「田楽屋さん」みたい。
【荒木町6番地新聞第3号は、我楽多屋でも無料配布しております】
さて、3号が発行されたので、2号のコラムを以下抜粋します。
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「魅力あるモノ・行程」
カメラについて話をする時に、クルマに例えると一般の人にも伝わりやすことが多々あります。
例えば、近年のエコカーや高級車は、A地点からB地点へ如何にラクに経済的に移動することばかりを目的にしていて、いわば結果がすべて的な感があります。
しかし、今や時代遅れ?とも言われ兼ねないスポーツカーには、エンジン音や排気音を聞き、ハンドルに伝わる挙動を感じ、ギアチェンジをしてクルマを操る楽しみ~ってのがあります。A地点からB地点に至るまでの行程に価値観を見出せるのです。
カメラも然り。最近の高性能なデジタルカメラは、いかに簡単にキレイに撮れるかが目的で、迅速なプリントアウトも含めて結果がすべて的。
それに対して、フィルムカメラは、構図や露出、それこそフィルム残数なども気にしながら、撮ることを楽しみ、さらには現像があがってくるまでのワクワク感など、その行程にたくさんの価値観が見出せます。
ただ、悲しいかな、世の中の流れがエコカーやデジタルカメラに傾向してしまっているので、それぞれのモノ(クルマ、カメラ)自体に、その行程を楽しめるモノ造りがされていないんですよね。持っているだけ、触っているだけ、見ているだけでも満足感を得られる魅力を持っているモノがないんです。
カメラの場合、今から40~50年くらい昔以前のモノには、そういう魅力を感じられるカメラがたくさんあります。そして、その頃のカメラが今でも現役で使える環境にあります。
フィルムを巻き上げる、ピントを合わせる、シャッターを切る、その動作一つ一つに機械的な操作感を味わいながら、写真を撮れるんです。わずか10~20年の間にたびたび様変わりしたデジタルの記録媒体と違って、フィルムは今でも同じ規格で残っていますから。
何も無理にスポーツカーに乗りなさいとか、フィルムカメラを使いなさい、なんてことを言うつもりはありません。そういう楽しみがあるってことを知らない人や忘れている人が増え過ぎてしまっているようなので、中古カメラ屋として、ちょっと話を振ってみたくなっただけです。昔の魅力あるモノをきっかけにして、行程を楽しむことをしてみて欲しいなぁ~と。
お休みの日に、スマホやデジタルカメラで気軽に写真を撮ること全然いいことと思います。でもたまには、フィルムカメラも一緒に持ち出して何枚かはフィルムカメラで撮ってみる、比較してみる、それだけでモノの見方自体が変わってくると思いますよ。