方位磁針つき
東郷堂のこのmeisupii(メイスピー)は、1952年頃の日本製カメラです。フィルムはボルタ判で、こういう表現には語弊があるかもしれませんが「おもちゃに毛が生えた程度」のカメラです。
バリエーションがかなりあるmeisupiiなので、わりとちょいちょいと見かけるのですが、今回のにはなんと方位磁針(コンパス)が付いていました。
軍艦部のシャッターボタンがあってもいいような位置に、何故か方位磁針。
少し調べてみたところ、方位磁針付きのmeisupiiの情報はほとんどないものの、同じ東郷堂のmeirittoという戦前に作られたカメラにもコンパスが付いていました。
さて、東郷堂についてはいろいろとエピソードがあるようです。創業者陣に東郷の名の人は居ないのについた社名は「東郷堂」。そこが作る玩具カメラに「トーゴ―」の名を付けることは「東郷元帥にあやかるかのようで恐れ多い!」と、当初は待ったがかかったらしいのですが、めげずに直談判に行ったところ認められたんだとか...。
また、1円程度で買えるカメラということで、「円カメラ」などと呼ばれる玩具カメラという認識から、カメラ店で扱ってもらえず、フィルムメーカーからも供給を拒まれ、独自にベルギーから輸入したフィルムで街頭販売などして知名度をあげたそうです。
戦後、東郷堂は二つの会社に分裂して、片方は豆カメラのヒットやボルタ判のホビーの他、トヨカなどの玩具域を超えたカメラも作るなどした後、大真精機と社名変更をします。もう一方は引き続きメイスピーや、新たにメイカイなどのボルタ判カメラを作り、メイカイ産業と社名変更するのですが、偶然にも社長の名前は東郷さんだったそうです。
さて、何でここのメーカーが方位磁針にこだわるのかは不明なままです...。
ところで、革ケースが思いのほかシッカリしている。
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