我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第298回
二代目さんの赤いカメラのコレクションで思い出したこと
ガラクタ屋さんの二代目さんはカメラ屋さんですから、自分では気に入ったカメラを手元に留めておく事はしないということをいつもステートメントしています。
これはなかなか危険な言い訳で、実際にはものを集めることが好きなんだけれども、それはできないから、なるべく手元にカメラを留めおかないようにしているというふうに文脈上は理解できます。
ものに固執するという事は、有名な哲学者は言ってますが、これはなかなか知的な考えだと思います。
それで最近また二代目さんのレッドカメラのコレクションが1台増えたようなのですが、それに関連して思い出したのは半世紀以上前に、私がトヨタ自動車工業の広告写真を撮影していた時の思い出です。
私は当時、日本を代表する広告代理店の日本デザインセンターのスタッフカメラマンでした。そういう連中は4 × 5インチのリンホフカメラでも、ハッセルブラッドカメラでもオリジナルの舶来カメラを持ち込めたわけですが、トヨタ自動車工業の社内の広報部がまだ発表前の新型のトヨタカローラ1100を撮影するときに秘密管理のために特別なカメラを使わないと撮影ができないということになっていました。
半世紀前のトヨタの本社にどのようなルールがあったのか想像できますか?なんと会社が用意した真っ赤に塗ったカメラでないと、発表前の秘密の新型の車は撮影できなかったのです。
トヨタの広報の人が撮影しているところを遠くから見ると、真っ赤にペイントされた間宮プレス等はなかなか存在感があってよかった。あんな真っ赤なカメラがヤフオクに出れば本当に欲しいです。
半世紀前のトヨタ自動車工業の情報管理のやり方を記憶している人は、もう皆さん墓場に入ってしまって、私ぐらいしかいないでしょうね。
いや、考えてみると、世界のトヨタだから、相変わらず真っ赤にペイントされたデジカメを使っているかもしれませんね。
(2024.8)