我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第280

最近二代目さんが話題にしているシリーズフィルターの事

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二代目さんのブログで刻印のついてない、ニコン純正のシリーズフィルターが入るレンズフードの話が出てきました。

私はニコン製品はプライドがあるから、すべてにNikonが入っていると思い込んでいたのですが、大昔ガラクタ屋さんで手に入れたノンブランドだと思っていた標準レンズ用のレンズフードがニコンの純正部品であることが分かって、何か得をした感じがしました。

レンズフードに関するブランド、信仰、趣味というのは、微妙なところがあって、例えばSummaron28ミリ用の純正のレンズフードはそれ自体が信仰の対象になっているので、値段もそれに見合った天文学的なものになっています。

そういうレンズフードとかシリーズフィルター用の普通の価値観がベースになった人気に比べると、ブランドの刻印が付いていないけれども、実はニコンというのはかなりレベルの高いブランド志向だと思います。

まず言ってみれば、「隠れキリシタンならぬ、隠れブランド主義」

今月紹介するのはリコーの人気レンジファインダーカメラですけれど、そこに貼られたイエローのプライスタグに小さな字で親切な説明をつけているが、ガラクタヤ名物のプライスタグについて話すのではありません。

名物、イエロープライスタグで通常は具合の悪いことが書かれているのですが、このリコーカメラでは逆であって、シャッターOKと記入されているところがなかなか親切。

それで今月の話題はレンズの先に付いているシリーズフィルターが格納できるリコーの純正レンズフードのことです。リコーは人気ブランドですから、ニコンに比べてちゃんとブランドを刻印しているのは偉いと思います。

1980年代に北京で開催された報道写真家コンテストの審査委員長で呼ばれたことがありましたが、その時のスポンサーがリコーとニコンなのですね。この2つのビッグネームが当時非常にパワーを持っていたわけです。

二代目さんのブログの紹介でシリーズフィルターのことが書かれていたのが非常に印象に残りました。というのも、私が写真を始めた1960年代半ばにシリーズフィルターは既に過去の存在になっていて、私の世代からもっぱらねじ込み式になっていました。

シリーズフィルターのシステムは、金属の枠がついたネジが付いていないフィルターか、あるいはフィルターのガラスだけのものがあって、それをレンズフードの一部に落とし込んで使うものです。

有名なのは、イーストマン・コダックの一連のシリーズフィルターですが、これはアメリカ人の合理主義というのか、当時フィルターは結構高価でしたから、異なるレンズの直径で共用できるようにしようというアイディアだったようです。

自分の写真を撮影するために、シリーズフィルターを使うという事は私の場合なかったのですが、1970年から日本デザインセンターで広告の仕事をやっていた当時はシリーズフィルターのお世話になりました。

これはガラスでできたフィルターではなくて、コダックがプロ写真家に販売していたゼラチンフィルターなのです。ゼラチンを2枚とか3枚重ねて、それをフィルターのホルダーに入れて、さらにフィルター用のレンズフードをつけるという複雑な手順で使っていました。

微妙な色温度の変換とかタングステンライト用のフィルムをデーライトに変換するとか、さらに蛍光灯の光の下で撮影するにはさらにそこにフィルターを加えるとか、それぞれのカメラマンは秘密のフィルターワークというので、第三者には知られないようにしていたのも懐かしい。

カメラマン同士がお互いに見えっ張りですから、そうなると100枚のゼラチンフィルターを持っているより200枚のゼラチンフィルターを持っている方がテクニックとしては上であるというような変な世界でした。

でも、実際に広告写真の撮影現場で使うフィルターは、ゼラチンのラッテンフィルターの1枚か2枚なんですけどね。

 

   

(2023.2)