カメラいじりまでの3段階
毎週土曜日の朝に決まってご来店いただくお客さんの話です。
GW前のある日、仕事帰りに立ち寄った京橋の写真屋さん(中古カメラが少しだけ陳列してあるそうです)でジャンクのニコンSを発見。しかし、シャッター幕が固着していて、どうにも動かないジャンク品。でも、レンズ(50mm/F1.4)も付いていて、外装はキレイなので衝動買いしてしまったそうです。
その直後に立ち寄った八重洲の本屋さんでニコンの修理本「クラシックニコン完全分解修理手帖」を発見してしまい、これは、シャッター幕の交換をしてみろ、ってことか!?と思って、その本を購入したそうです。
こうなったら、自然と足は秋葉原へ向かい、Yバシカメラでシャッター幕を購入(約3,000円)していたそうです。
と、ここまではGW前にお話を聞かせていただいてました。
で、GWが明けて聞かせていただくと、見事、シャッター幕交換を終えたそうです。今までにいくらか、カメラいじりの経験はあったそうですが、シャッター幕の交換は初めてで、修理本を見ながら試行錯誤だったとのこと。
それでは、上の画像の説明をします。
カメラは復活したニコンS。幕の交換だけでなく、内部のクリーニング等も行なったそうでファインダーやレンズ内部もクリアになっていました。
その手前にある値札が面白いですね。故障品20,000円で購入されたことが分かります。修理70,000円とも書かれているので、購入とともに修理を依頼すればプラス70,000円で完動品になるのでしょう。ということは、お客さん自身で70,000円相当の作業をしてしまったわけですね。
カメラの上に見える黒い布が固着していたシャッター幕。かなりベコベコでゴワゴワです。
右手の本が「クラシックニコン完全分解修理手帖」というニコンS、SP、F、F2用の修理マニュアルです。カラー写真で詳細に解説され、実に頼りになりそうな本です。発行はスタジオ タック クリエイティブという会社。4,800円という値段はずいぶんとお手頃価格のように思いました。
左上のプリント2枚は修理後の一度目の試写だそうです。画像ではちょっと分かりずらいのですが、右側のプリントの右半分が露光されていません。このテストで最高速1/500秒だけ幕の動きに支障があるのが判明し、早速、追加で手直しをしたとのこと。
今回のこのお話、修理内容自体は皆さん経験済みの方も多いかもしれません。わたし的に非常に興味をそそられたのが、ジャンク品を見つけた直後に、トントントンと修理本、シャッター幕購入と3段階に話が急進したあたりが、タイミングというか、巡り合わせというか、買い物や趣味の醍醐味なのかな!という点です。