我楽多屋で買った    モノ・マガジン

Gallery 463

Powered by Six Apart

2022年3月22日 (火)

SUZUKI'S AUTO FOCUS

276151705_7150334978342109_52713732

常連さんが「これは正体がイマイチ分からないカメラなので置いて行きますから~(お金は要らないという意味で)」と、言って持ち込まれたカメラです。

とはいえ、他のものと合わせて物々交換という形で引き取りました。

当然常連さんもいろいろ調べた上でのことだろうから、ネット検索で簡単に結果が出るものでもないはず。時間があるときに、店にある本で調べてみようと思いました。

276166311_7150335071675433_73216893

まず、このカメラを見て確認出来るのは、トップカバーに「SUZUKI'S AUTO FOCUS」と刻印されている点と、レンズに東京光学のシムラーが付いている点。

でも、「鈴木」というブランドやメーカーのカメラは戦前戦中戦後を通して見当たりません。

広告記事を集めた「昭和10~40年 広告に見る国産カメラの歴史」(朝日新聞社刊)を見ていたら、1943年頃にカメラの改造をする業者の広告があって、その中に距離計連動への改造をすることが記されていました。常連さんもそこまではご存知であることを話の中で聞いていました。

276205355_7150335151675425_63785347

その広告の中に「鈴木式連動装置」という文字を見つけました!

すると、次はベースになったカメラが何か?なんですが、ボディにそれが分かる刻印などが何も無いのです。「国産カメラ図鑑」(朝日ソノラマ刊)に出ているたくさんのカメラの写真から、各部の形状が似ているものを探して「ロイコ」(理研光学)であろうことがほぼ判明。

276285288_7150334861675454_18163710

でも、ここに至るまでにはレンズにシムラーが付いていることも条件として合わせて探していたので、遠回りをしてしまいました。

どうやら、レンズも元々このカメラに付いていたものではなくて、「ミニヨン」(東京光学)のレンズを移植されたようなのです。シムラー6cm/3.5が付いているカメラが他に見当たらないのと、レンズとシャッター(セイコーラピッド)の組み合わせが「ミニヨン」でしかなさそうだし、見や目もそのもの。

276212366_7150334768342130_25014725

ということで、このカメラはロイコを鈴木式の距離計連動に改造し、当時評価がされていたシムラーレンズに付け替え改造までされたものであろうと推測されるのです。

この件を元オーナーの常連さんにお話したところ~追加で確認出来たことがありました。ミニヨンは前玉回転式なので、ロイコに付け替える際にはレンズを固定するなどの改造も合わせてされている点。

最後になりますが「興味深いなぁ〜」と思ったのはこの種の改造について、ユーザー側から需要があったのか?それとも業者側からの提案的なものなのかは別にして、広告を出して商いにしようとしていた当時の時代性や文化をのぞき見ることが出来たことです。

 

★3月25日(金)、我楽多屋は臨時休業させていただく予定です。

 

 

2022年3月21日 (月)

環もいろいろ

276225106_7146517442057196_16869895

ストラップをカメラボディに取り付ける際に使用する「丸環・三角環」。

これらの形状をじっくりと見る機会はあまりないと思います。

今回たまたま気にして見た環の作りが良かったので、いくつか他の環と比べてみたら、そこそこ差があることに気付きました。

作りが良いなぁと思ったのは、画像の中で手前にある環。

先端部が斜めにカットされているうえに、その傾斜にピッタリ沿うように、中央部がS字カーブ的に曲げられています。キレイですよね。

後方に並んだ環は、先が斜めにカットされていなかったり、S字カーブ的な部分との間隔が広かったりして、作り込みが少し粗い気がします。

 

★3月25日(金)、我楽多屋は臨時休業させていただく予定です。

 

 

2022年3月20日 (日)

家具調ポラロイド!?

276051410_7142677235774550_10985667

我楽多屋で販売中の木製アクセサリーシューカバーを作成されている木材加工屋さんが「こんなものもあるんですよ」と言って持って来てくださったのが、本物の木材をシート状にしたもの(15cm×15cm)。

木目調にプリントされたシートではないので、本当に木の匂いがします。

これを何かに貼って遊んでみよう楽しんでみよう!という需要があるならば~ということです。

私自身が「これは良いなぁ~」と思ったので、ブログネタにして欲しい人がいらっしゃったら、お売りしようと思って数枚引き取りました。

67433990_2908838652491784_560893422

実は以前、レンズフードにこのシートを貼った作例を見せていただいたことがありましたし、ネタにするなら~私もカメラ関係のモノに貼ったのを見本にしようと思ったのですが、適当な案が見つからずにちょっと時間が経過してしまいました。

で、ひらめいて試してみたのが、ポラロイドSX-70の外装に貼ってみること。イイ感じじゃないですか!?

275942183_7142677255774548_19283124

 

★3月25日(金)、我楽多屋は臨時休業させていただく予定です。

 

 

2022年3月19日 (土)

4眼用のはず

276058693_7138386876203586_68705307

先日、お客さんに「小さい径のキャップを探しているんですけど、27ミリ径くらいのを...」と聞かれました。

「あるとすれば、このカゴの中ですけど」と案内しながら、ありそうな記憶があったので探し出して定規で測ってみると、28ミリくらいありそう…。

お客さんに手渡すと、「そうですよね、少し大きい分には内側に何かを少し巻けばいいんだし」と頷きながら、「まだありますか?」と。

ポラロイドの証明写真用4眼カメラに使いたいので、希望は4個だというのです。

えっ!?私の記憶が正しければ、このキャップはまさにその4眼カメラ用のキャップのはずなんです。だって、キャップの前面に四角のマークが4つ記されてますよね。

そして、カゴの中を探したら、同じものがちょうど4個ありました。

「100%の自信はないですけど、これはまず間違いなく~お探しのカメラ用のレンズキャップですよ」とお伝えすると、ビックリするくらい喜んでくださいました。

これ以外にも覚えているのは、フォーサーズ(マイクロフォーサーズじゃなくて)のリアキャップを探している人、40.5ミリ径のキャップを探している人、コニカⅢ型用カブセ式のメタルキャップを探している人が来られた時に、タイミングよく在庫があって~どの人にも「ほかの店で見つからなかったので良かった!」と喜んでいただいたことが最近続きました。

 

 

2022年3月18日 (金)

危うく落ちそうになってたミノルタ3台

16日午後11時半過ぎに発生した地震による被害にあわれた方、お見舞い申し上げます。東京も大きな揺れが長めに続きました。

17日朝、店へ来てすぐに被害の有無を確認したところ、幸い床に品物が落ちてしまうような被害はありませんでした。

ただ、揺れが長かったためか?棚の上で品物がかなり動いたような形跡がいくつかありました。

ウインドウの中の棚に何列か並べていたレンズが全般的に前へズレたような感じで、最前列にあったレンズのうち3本が正面のウインドウにもたれかかっていました。そのせいで落下はせずに済みました。下の画像はちょっと分かりにくいかもしれませんが、その現場を下方横から撮ったもの。

275817898_7133253583383582_21304422

 
あと、店内2ヶ所の棚の上で、ミノルタの一眼レフSRシリーズのボディだけ周りのカメラより明らかに動きが大きいことが分かりました。

下の画像、中央の3台だけ異常に位置が変わっていて、もう少しで棚から落下するところでした。3台ともミノルタ。

275835928_7133253483383592_596834_2

こちらの画像も右手前の2台だけが大きく位置を変えていますが、これもミノルタ。 

275968797_7133253453383595_85458728

実はこの件は「回るカメラ」というタイトルで、8年前にも話題にしています。底の形状が原因でガラスの上など平滑面での安定が悪いんです。その理由はこちらを参照ください→https://camera-kaukau.lekumo.biz/arrow/2014/02/post-b83e.html

ご自宅でガラスの上など平滑面にミノルタSRシリーズのボディを置いている方は、置き方を少し考えた方がいいかもしれませんよ。レンズを付けているだけでも、かなり安定するはずです。

 

 

2022年3月17日 (木)

テレコンから自作レンズ

275850469_7119439784764962_74202592

以前から、ビックリするようなカメラ趣味の中学生や高校生がご来店することがありましたが、久々にオオッ!という高校生1年生がご来店されました。

既に何度かご来店くださっているのですが、先日は「お見せしたいものがあって~」と。

我楽多屋で買って行かれた、いくつかのテレコンバーターのジャンク品からバラしたレンズを適当に見繕って組み合わせたレンズを自作されたのだそうです。鏡胴は3Dプリンターで作成しています。

星形の絞りが入れてあって、我楽多屋店内で実写した参考画像がこちら。

Dsc_0473

また、ティルト機構付きのマウントアダプターも3Dプリンターで作成されているとのこと。

この高校生、こういう細工だけじゃなくてシッカリと写真も撮っていて、休刊前の日本カメラ(ということは当時は中学生)の誌上コンテストの他、様々なコンテストで入賞されたりしています。

末恐ろしいカメラ・写真趣味の高校生が現れましたよ。

 

 

2022年3月16日 (水)

荒木町「の」ゴムホース

本日水曜日は、我楽多屋の定休日です。よろしくお願い申し上げます。

**************************

二代目の「先週撮ったもの行ったとこ」は、荒木町裏路地で。

ここしばらくはゴムホースが気になって仕方ないのですが、店から至近の狭い路地で疲れた感じの「の」の字状のゴムホースを見つけました。

275612550_7100803529961921_63101450

 

2022年3月15日 (火)

2階建て~

本日第3火曜日、明日水曜日は我楽多屋の定休日です。よろしくお願い申し上げます

 

275621014_7119316981443909_80158624

昨日、我楽多屋が2階へ上がって10周年記念だったから~じゃないですけど、人によっては「2階建て」と呼ぶカメラを小さな店に6台並べてみました。

そもそも、手動巻き上げのフィルムカメラ時代は巻上げ(や巻き戻し)を自動で行なうために、電池とモーターを内蔵したものをカメラの下部に取り付けたので、2階建てのような構造になったわけです。

そして、もともとのカメラが自動巻き上げになってからも2階建て構造は残ります。巻上げ速度を上げるために電源容量を増す目的でカメラの下部に電池室を追加したものや、縦位置での撮影をしやすくするためにシャッターボタンが付いたグリップを追加したものがそれにあたります。

デジタルになってからは、バッテリー容量と縦位置撮影が目的でしょう。

これら2階建ての1階部分は、ワインダーやモータードライブ、縦位置グリップ、バッテリーグリップと呼ばれます。

今回の画像に写っているものの場合、右列の前の2台(コンタックスRTSとニコンFE)は手動巻き上げを自動巻き上げにするのが目的。右列の最後方(ニコンF90)と左列の一番前(キヤノンEOS5)は縦位置撮影をしやすくするのが目的。左列の後ろの2台(キヤノンEOS10DとEOS6D)はバッテリー容量を増すのと縦位置撮影をしやすくするのが目的。

画像に無いですが、ニコンF4用のバッテリーパックMB-23などは巻上げ速度を増すことが出来たうえに縦位置撮影用のシャッターボタンも付いています。

そして、最近の我楽多屋の面白い傾向として、壊れたボディが付いてる動作品の1階部分が続けて出たこと。画像の6台中3台がそれ…。

275777258_7119316921443915_10030990

 

 

 

2022年3月14日 (月)

2階で10年

275761243_7114761705232770_44247778

本日3月14日、我楽多屋が2階に移動してからちょうど10年が経過しました。早いものです。

2階へ移動した直後は窓が無くて外が見えない環境に慣れず、日に数回は意味もなく階段を下りて、外の空気を吸いに行ったりしたものでした。

今では朝、店を開けてから夕方まで一歩も外に出ないこともあって、ご来店のお客さんに「まだ晴れてます?」なんて聞いたりすることもあります。

2階へ上がって10年ですが、我楽多屋は今年の秋に33年。父が四谷でカメラ屋を始めてからは56年。

長い歴史だなぁ~と思いますが、先を見ればただでさえ縮小傾向の業界ですし、コロナ禍そして国際情勢も怪しいなか、いつまで続けられるのか…!?不安もあります。

でも、いま出来ることを一つずつやって行きたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。

 

 

2022年3月13日 (日)

ぜ~んぶ我楽多屋出身

275785824_7110281909014083_19060480

一昨日金曜日のお客さんカメラ。Hさんが肩からこのカメラを提げているのを見て、「あっ!」と思いました。

このライカM4-Pは、今から10数年前にうちの店というかアローカメラの買取り品だったのです。詳細は忘れてしまいましたが、仲間の業者へ転売する前にタイミング良くお買上いただいたものなのです。

それを「懐かしいなぁ~」と思いましたし、茶色の底ケースは我楽多屋で革職人さんと相談しながらライカ用革ケースを作ろう~としていた時の試作品。採寸用にM4-Pを貸していただいたお礼に、革職人さんから提供されたものなので、当時の記憶が蘇ったりしました。

Hさんも、M4-Pを持ち出すのは久しぶりとのことで、いろいろとお話をしていると。

「この革のストラップも我楽多屋さんで買ったものですよ」と。あまり見慣れないストラップだけど、私の記憶には残っておらず...。で、もしや?と思って確認してみたら、レンズ(ジュピター28/3.5)も我楽多屋で買ったものだそうです。

「すると~(レンズとボディの間にある)M-Lリングも我楽多屋さんですよ」と。さらに、装填しているフィルムは20年以上前に期限が切れたフィルムを入れているというので、そのフイルムも我楽多屋で買ったいただいたものでした。

ということで、画像のカメラ・レンズその他、ぜ~んぶ我楽多屋出身の組み合わせだった!というお見事な出来栄えでございました(笑)。

ちなみに、画像ではM4-Pが綺麗に写っていますが、当時からそこそこ使用感がある個体で、底ケースに隠れて見えませんが貼り革はかなり剥がれているのです。