我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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2020年2月 4日 (火)

for Manchoukuo(満州国)

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我楽多屋にジャンク品として並べていた「セミイコンタ」です。

先日、お客さんがそれを見て「おぉ!満州国向けのだ。これを見てしまったからには買わずにはいられないなぁ」とつぶやかれました。

背蓋を開けた時にだけ見える本体側のある部分に、ごくごく小さい文字で「for Manchoukuo」と刻印されているものが存在することを、今回初めて知りました。

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このお客さん、この刻印が入ってるセミイコンタを既に1台お持ちなのだそうですが、祖祖父様がかつて満州国にいらっしゃったそうで、縁を感じてしまうのだそうです。

私は今回初めて知ったわけですが、ご存知の方が意識されていても、滅多にお目にかかることが無い希少品です。

さらに、この個体をいろいろと調べてみるに興味深いことも判明します。

シャッターボタンがボディ側にあるので、1932年発売のセミイコンタの後期モデル(1936年以降)です。レンズ番号を調べてみると、1936年にカールツァイスイエナで製造されたテッサ―レンズであることも判明しました。そこから、この個体は1936年ないし1937年に完成したと思われます。

満州国が建国されたのは1932年ですが、国際連盟加盟国の多くは満州国の独立を認めず、それが理由の一つとなって日本は国際連盟を脱退しました。その後、ドイツが満州国を承認したのは1938年のこと。

すると、この個体がドイツから満州へ渡ったのは1938年以降と考えるのが自然です。でも、1938年にはセミイコンタのⅡ型が登場しているのです。

ここら辺の時系列から、型遅れになったカメラに「for Manchoukuo」と刻印して売ったのかなぁ~とか、満州から日本へはどんなルートでやって来たのだろうかぁ~とか、このカメラのカメラ人生を勝手にいろいろと想像するのも楽しいですねぇ~なんて、そのお客さんと話が盛り上がりました。

 

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