我楽多屋で買った    モノ・マガジン

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我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第263

ワールドレコード!

1度に集中して4回もシャッターが切れた!猫的FS!

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ガラクタ屋さんで扱っているものは、我々カメラ人類が想像している以上の楽しみの幅があります。

普通のお客さんなら、古くなったフィルムを使う一眼レフを買って、それで撮影したり遊んだりするわけです。

ガラクタ屋さんは一応中古カメラ屋さんのルールの上に価格設定をしているわけですから、基本的にはシャッターが動かないものは本当に安く値付けをするのですね。

ところがこのカメラはニコマートFSですけれども、ここには関係者ごく少数の人しか知らない遊びの精神というものがあるのです。

ニコマートFSというカメラは、私が40年前にオーストリアウィーンで暮らしていた時にニコンマウントのメインカメラとして使っていました。それもカメラの程度はものすごく悪くて、クロームを磨き上げてピカピカにしているほどのひどいカメラでした。しかし、シャッターはちゃんと切れていたのでウィーンでたくさん作品を撮りました。

ところで、ここに紹介するニコマートFSの外見はほとんどミントの状態です。最初にこのカメラに出会ったのは7~8年前だと思いますが、何が個性的かというと、1日に一度しかシャッターが落ちないという個性的なカメラだったのです。それでガラクタ屋さんに行った時に、今日は何回シャッターが落ちましたか?と聞いたりするのも楽しみのうちになりました。

その後、偽貫禄クラブの会長さんがこれを買っていきました。彼は手先が器用なのでたいていのカメラは自分で直してしまうのです。ところが、それから1年ぐらいして聞いたところ、ずいぶん手を尽くしたものの、何が悪いかもよく分からなくて相変わらず、機嫌がよければ1日にシャッターが一度落ちるという程度のままだったのです。

そして、その人が東京の仕事場を引き上げて北九州にお帰りになるときなって、このニコマートFSはまたガラクタ屋さんに戻ってきました。私はこのカメラを見て、もちろん自分で直そうなどとは思いません。それよりも何か貴重な文化遺産という感じがして手に入れました。

ニコマートの相場からすると、動かないカメラでこの値段というのはちょっと高いなと考えたのですが、別の見方をするならばこういう気まぐれなニコマートというのは、すでに我々カメラ人類の間では文化財としてのポテンシャルを獲得しているわけです。

そうして、佃島に来た時々動くけどめったに動かないニコマートFSはその日の運命判断みたいな役割で使い始めて、もう5年ぐらいになるかな?

コロナの下での強引なオリンピック開催で正常な日本国民はみんな怒っています。それでこのオリンピック期間中に家にあるニコマートFSの運命はどうかと思って、テストしてみたら驚いたことにワールドレコードを達成しました。

要するに今までは数日ごとに一度シャッターが切れるというカメラであったのが、いちどカメラを手にした状態で連続して4回もシャッターが切れたのです。

コロナのワールドレコードといい、オリンピックのごり押しといい、けしからんことばかり起こっている極東の反動的な国ですが、猫的FSの快進撃はちょっと明るいニュースになりました。これからは猫的と呼びますね。

 

 

(2021.9)