我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第287回
白いニコンJ1を使わなくなった理由
多分ガラクタ屋さんで手に入れたのは2年以上前かと思います。
ひょっとしたら以前の私のシリーズで紹介していたかもしれませんが、私の場合には機種がダブル事はないというルールは無いので、このカメラのその後どうなったという、時間軸上で書いていくということでご了承下さい。
ガラクタ屋さんでずいぶんいろいろな面白いものを手に入れました。でも、それは変わったカメラとかフイルムカメラの珍しいアクセサリーというのがほとんどで、デジタルカメラは指で数えられるぐらいしか手に入れていないのです。
一番最初がNikon D200で、その次がEOS 20D、それからソニーのα100。そして最後に買ったのはこのカメラという時間軸になります。
大昔はガラクタ屋さんではデジタルカメラ等は全く扱っていなかったのが、今ではちらほら見えるようになったというのは時代の変化ということでしょう。
この白いニコンのコンデジを手に入れた時はボディー本体でした。交換レンズは無かったので手持ちにあるライカ用のレンズを使うつもりで手に入れたのです。その後、中国製の安いライカエムバヨネットxコンパクトカメラレンズアダプターを手に入れました。
この数年来、私が結構批判している事なんですが、ありとあらゆる昔のフィルムカメラ用のレンズをマウントアダプターでデジタルカメラに付けて、それぞれのレンズを味わうというような変な流行ができてしまっています。それで皆さんで集まって楽しくやっているのは良いのですが、何か方向が逆のような感じがするわけです。
半世紀以上使っているニコンFマウントニッコール2.1センチは当時はまだ、レンズマウントアダプターというのが存在しなかったので、父親の会社の出入りの業者さんに作ってもらったのでした。そしてそれを今でも使っているのです。必要があってレンズマウントアダプターでレンズを使っているというのが正統派という気がするのです。
一方で今ではありとあらゆるレンズマウントアダプターでありとあらゆるレンズをデジカメに付けて、その印象というのが「良いレンズです」とか、「ボケ味がきれいです」とか言ってるのは、何か私のようなシリアスな写真家から見ると、まぁ趣味でやっているから文句の言いようもないのですが、若い連中は腑抜けという気がしますね。
それで、この白いコンデジにレンズマウントアダプターを付けて、さぁこれで揃った後は撮るだけだというのに、実際には出番がないので私の仕事机の右側にある江戸時代のタンスの脇に置かれたまま2年近くが経過しました。それを思い出して手に取ってみると、この当時のコンデジとしてはなかなか優秀な白いすべすべした仕上げで素晴らしい。
それでよく観察してみると、ライカエムバヨネットアダプターの前にかぶさっているのは、1960年代のライカの正式なボディーキャップなのです。最近の1,000,000円以上するデジタルライカMモデルのボディーキャップというのが、そこら辺のガラクタのジャンクコーナーで売っている100円の黒いプラスチックのボディーキャップと同じなのは何か情けなく感じています。
この白いコンデジの黄色いPrice Tagが時間が経ったので、肉眼で見るとほとんど見ることができないのも情けない状態です。それでこのようにiPhoneで写してトーンカーブを持ち上げてあるとようやくプライスが分かりました。
私が出した数多くのライカの本の中で、片岡義男さんからいただいたタイトルに「ライカを買う理由」というのがあります。どうもこれは片岡さんが描いた名作エッセイで「ラハイナまで来た理由」というのがありますが、そこら辺が片岡さんのインスピレーションになっているようです。
それからインスピレーションを受けて今回のタイトルのことを考えてみれば、「ニコンJ1を使わない理由」ということになるのでしょうか?
もちろん優秀なカメラですから、ニコンJ1が使えない理由ではありませんよ。
(2023.9)