我楽多屋で買ったモノ・マガジン 第317回
リンホフからのクレーム
間宮プレスのグリップがベージュ色はけしからんという件
第二次大戦後、日本のカメラ工業はドイツのカメラを真似してここまで来たわけです。
ライカタイプがキャノンになり、コンタックスタイプがニコンになったわけです。それでその視点を広げるならば、間宮プレスというカメラがありますけれども、あれが誕生した時はミュンヘンにあるリンホフカメラのコンセプトの真似なのですね。
私が尊敬する写真家、アメリカに生まれて、後にパリで暮らしたルイスヴァルツは東川プライスを受賞して北海道に来たこともあります。その写真家が彼の一連の写真集で使っているのがミドルフォーマットのリンホフなのです。
私もミドルフォーマットのリンホフプレスを使っていたので、このアメリカの写真家に親近感を持ったものでした。
それでリンホフプレスを使っているうちに、それよりも安いし、小型軽量の間宮プレスに気がつきました。
この間宮プレスも以前にガラクタ屋さんで手に入れたものです。
ところが私には間宮プレスの美学とてもいうものがあって、一番初期のベージュ色のハンドグリップでないとダメなのです。
イタリアで初めてのフリーランスの女性写真家という人がいて、彼女が手にしているのが初期の間宮プレスでしたが、残念なことにベージュの最初期モデルではなくて、その後のブラックのハンドグリップのやつで残念。
戦後の日本製カメラはドイツから見ると我々の真似だというので、ずいぶんクレームが来たものでした。その中で極めてユニークなのは、ドイツはミュンヘンのリンホフから間宮に届けられたクレームです。すなわち間宮プレスのベージュのハンドグリップは、わが社のリンホフプレスと同じ色合いであるから、けしからんというのです。
普通のクレームというのは、カメラの機構を真似しているからけしからんというのが常識ですが、リンホフのクレームというのが、その上のクラスのカメラの存在哲学の本質に触れているので、これはレベルが高いと感心したものでした。
それで私が好きな間宮プレスは、このようなベージュ色のグリップモデル。
ところで、面白いことにリンホフカメラは後期モデルになるとハンドグリップの色がベージュからブラックになってしまいました。だから、逆に間宮カメラはリンホフに向かって、わが社のブラックのハンドグリップの真似をするなとクレームをつけてもいいわけです。
(2026.3)
