アベノンには思い出があります。
1980年代だったと思います。レンズメーカーのコムラ―(三協光機)が会社をやめる時に、役員の一人だった阿部さんが独立されました。
その阿部さんから連絡をもらいました。「アローさん、ライカスクリューマウントのレンズ(28mmF3.5)を製造中でとりあえず1000本くらいあるので、全部どうですか?レンズ名を「ARROW(アロー)」にしてもいいです」と。
私は色々考えた末に「全部引き受けましょう。でも、レンズ名は『ARROW』じゃなくていいです。『アベノン(AVENON)』が良いんじゃないですか?」と答えました。
引き受けたレンズの半分くらいは香港のカメラ屋さんに売りました。残りの半分は日本の仲間の業者へ売って、全部売りさばきました。
買取り相談の電話やメールなどで「何軒もの店に買取り値を聞かれている」場合、私は一方的に買取り値を提示しないようにしています。
「見積もり」というのは文字通り、現物を「見て」行なうこと。現物を見ていない状態で提示された金額は参考値または最高値でしかないからです。
それと、業者側の立場になれば「高め」に答えることが十分に予想されるので、電話で提示された価格で何軒ものお店を比較をすることはあまり意味が無いと思っているからです。
私の場合、お売りになりたい希望額をお持ちの方の場合は、それを聞かせていただいて、それ以上で買えるでしょうとか、それは難しいでしょう、というお答えをするようにしています。
あとは、私をご信用いただきお任せいただくのが一番だと思っております。
それが出来ないという方で、何軒か問合わせた中に私の知っている信用できるお店がある場合は、その店に行かれることもおすすめしています。
数日前のお問い合わせ電話、こんなやりとりでした。
*「問」はお客様からお問い合わせ内容
問:「コンタックスT2ゴールドを売りたいのだが、買取価格はいくらになりますか?」
私:「程度によって価格差が出ますし、程度の判断は個人差もあるうえ業者とお客様で見方も違うので、一方的な金額提示は難しいです」
問:「新品同様なのだが」
私:「欲しい品物なので特別にお答えしますけど、私も新品同様と判断出来れば〇万円くらいで買えると思います」
問:「×万円(私の提示の1.3倍くらい)で買ってもらえないだろうか」
私:「それは無理でしょう。でも、お客様がご自身のカメラの程度に自信をお持ちなら、出来るだけ頑張って買いますので送ってください」
今日1月18日は、1924年に都バスが運行を開始した日を記念して「都バスの日」なんだそうです。
それで思い出したことです。
アローカメラ開店当初、知人に東京都交通局の売店を紹介してもらって、都バスや都電の車庫や工場に毎日のように通っていました。
1日70kmくらいスクーターで走って、白黒DPEの集配をしました。杉並や芝、練馬など、今でも残っている車庫の前を通るととても懐かしいです。多い日には20本くらいフィルムを預かって来ていました。
そのうちに、DPEの依頼主の方々とも知り合いになってカメラの販売も相当にしましたし、店でやっていたアローカメラクラブ(メンバー50名くらい居ました)の撮影会にも参加してもらったり楽しい時代でした。