我楽多屋で買った    モノ・マガジン

Powered by Six Apart

« ゼブラレンズ | メイン | 逃げる針 »

2012年4月 1日 (日)

KWANON(カンノン)

N300
キヤノン(当時は精機光学研究所)のカメラ第1号機に付けられた名称が「カンノン」だったことはご存知でしょうか?

昭和9年の話です。「カンノン」はアサヒカメラなどの雑誌に広告が掲載されて発売を目指していたのですが、諸事情あって発売されませんでした。なので、第1号機と言っても、それは試作機で終わってしまいました。

「カンノン」の名称は、「観音」から来ているそうで、1号機の生みの親である吉田氏が観音教の信者だったからだそうです。こちらも発売されていませんが、「カンノン」に付くはずだったレンズには、「仏陀」を意味する「カシャパ(KASYAPA)」という名称が与えられていました。

発売前に出された、その幻の広告のコピーには、「潜水艦ハ伊号 飛行機ハ九二式 カメラハKWANON 皆世界一」とあり、世界に誇れるカメラを造る強い意志があったことが解ります。

しかし、カンノンが製品化されなかった背景には、技術的な問題や財政的な問題、人的な問題など様々あったようです。

ちなみに、販売第1号機は「ハンザキヤノン」と呼ばれています。「ハンザ」は販売代理店近江屋写真用品のブランド名。「キヤノン」は「聖典」とか「標準」などという意味合いがあり、宗教色のある「カンノン」という名称を避けたのは、海外進出も視野に入れていたからでしょう。

さて、今日、こんなネタを持ち出したのは、「カンノン」カメラの軍幹部にも記されていたという千手観音のイラストと、燃えるような書体で書かれたブランドロゴを改めて見ていて単純に「凄いなぁ~」と思ったから。

ここからは完全に余談になります。千手観音が手に何か持っている場合、おおよそ何なのか宗教的に決まっているらしいのですが、カンノンカメラに描かれた千手観音のイラストの場合、向かって右側の一番下の手には「折り畳み式の携帯電話」、その上の手には「カメラのレンズ」を持っているように見えませんか???